今までバリューエンジニアリング(VE)の教育の多くは社会人を中心に行ってきました。
2004年度、小生の提案で早稲田大学に建設系学生を対象にVE講座が設けられ、半期で2単位が取得できるようになりました。なぜ大学生にVEの教育が必要かについて以下の理由が考えられます。
(1)大学の授業は細分化された領域で行われ、特に理工系には領域を横断するマネジメント手法関連の講義が少ない。
(2)理論だけではなく、実務に近い講義は学校と社会の架け橋のきっかけが作れる。
(3)分野をまたぐ融合的かつ客観性のある手法は新しい流れの創出が期待できる。
(4)多様化しつつ社会の価値観に適用できる手法を大学で学ぶことにより考え方の柔軟化と創造性の向上が図れる。
2年間に約180名の大学院生と大学生が受講し、道路施設をテーマにしたワークショップセミナーでVEの基本を習得し、単位を取りました。その基本テクニックをさらに身につけさせる方法として受講生にVEL資格を取るように勧めてきました。その結果約半数の86人がVELを取得しました。統計的ではないが取得者は下記の考えで資格取得を決心したと思われます。
(1)就職活動に有利で就職後に仕事で使えそう
(2)自己能力のステップアップに使える
(3)VEのテクニックをさらに勉強したい(大学での12コマの講義は物足りない)
4年間をかけて大学では専攻の基礎学問は学べるが、講義の中の一部が社会に使える実用的な学問があってもよいと考えられます。あらゆる分野に適用できるVEは大学教育では社会との連続性を保つ講義のひとつであると考えられます。新入社員にVEL取得者が増えれば公的機関や企業等の価値向上もスピードアップが図れるに違いありません。