論文カテゴリー: VEテクニック 216件

VEは一般的にコストダウンの手法だと誤った理解をされている一面がある。そのため、コストダウンした部品で不具合が発生すると「VEのやり過ぎが不具合を引き起こした」などと言われる。VEを推進する立場として、こういった誤解や偏見を払拭するためにも、自分が関わったVE事例や指導したチームのVE事例では絶対に不具合を発生させたくないと考える。

技術的な不安を残さず代替案へ移行させるためには、「具体化」のステップで欠点を漏れなく克服する必要があるが、欠点を全て把握することは困難である。そこで、VE事例の心配点、懸念点を漏れなく洗い出し克服するために、未然防止のための問題発見手法の1プロセスであるDRBFM(Design Review Based on Failure Mode)を活用したVE実施手順について検討を行った。

本VE実施手順では複数回実施するデザインレビュを通じて、VEチームメンバ以外の社内有識者や経験のある諸先輩方、チームメンバの上司達を検討中のVEに巻き込むことで、全員が当事者であると認識してもらい、代替案の実現化まで様々なサポートを得やすくすることと、VEを正しく理解してもらうことを副次的な狙いとしている。

外部調達品のVEによる改善は、設計情報やコスト情報を購入側では把握しきれていないため情報不足により、購入側にとっては不要な部品の削減や部品の形状・仕様変更、等による改善の推進が困難な場合が多い。そのため供給メーカーの協力がないと、そのようなVE的な改善が進まないのが現状である。

そこで本論文では、コスト解析というプロセスを通じて、購入側にて対象品の機能・コスト面での理解を深め、その結果から外部調達品のVE思想を活用した改善を促進させ、外部調達品のコスト低減、価値向上につなげる手法とその適用例を示し、有効性を明らかにするものである。

100年に一度と言われる世界的な大不況が企業の業績を大幅に悪化させている。各企業は生き残りをかけて企業体質を強化し業績を向上させて、この激変する外部環境に対応しなければならない。このような外部環境激変の環境下にあって、企業が業績の向上を図るためには企業内の諸活動を活性化させなくてはならない。また、この諸活動の成果を的確に測定し評価することが大変重要な課題となっている。

バランス・スコアカード(以下、BSCという)は、財務、顧客、業務プロセスおよび学習と成長の4つの視点から組織の戦略目標とこれを実現するための具体的なアクションを識別して構築できる経営ツールとして活用されている。

しかし、BSC活用面の課題として、「単なる業績評価指標の寄せ集めでしかない」や「業績評価指標の設定が容易でない」などの項目が挙げられている。

そこで本論文は、機能的研究法をBSCにおける業績評価指標の設定に活用する方法を提案するものである。

管理技術は固有技術をサポートする技術である。近年、固有技術は異分野や新分野間の技術融合が進みつつあり、積極的な新分野の研究推進が必要となっている。これに応じて管理技術も変革を迫られることになると考えられる。こうした現象から、今後のVEが必要としているもののーつとして、新たなVE技法の開発あるいは他の管理技術との技術融合等がある。この問題を解決するために、本論文ではVEとは別の方法論であるTRIZをVEの中で有効活用し、両手法の長所を生かした新たな手法を提案し未来に備えたい。本論文は、VEの基本思考は変化させずに実施手順の詳細ステップにTRIZの概念を導入し、VEが次世代を目指した新しい手法として活用できるように試行したものである。

製品多様化と部品少数化の二律背反を克服するために、次の10の活動ステップからなるモジュラー・デザイン方法論を開発した。

(i)製品システム構成確立、(ii)モジュール数およびその使い方確立、(iii)目標設定・実行計画策定、(iv)製品ミックス整備、(v)設計・製造連携VE、(vi)生産構造要件書運用、(vii)設計のモジュール化、(viii)編集開発、(ix)MD効果の実現、(x)MD視点、デザイン・レビュー

また、製品のモジュール化を阻害する要因を解明し、それにもとづいて製品のモジュラー型/擦り合わせ型を判別するモジュール化難易度指数の算出法と製品をモジュール化しやすくする7つの技術方策を提示した。

近年の建設業における利益管理は、一般製造業で行われている原価企画の考え方を参考に大きく変化し、それに伴い企画から施工までの各段階でVE活動を中心とした利益創出活動が活発に行われるようになった。この利益管理を適切に行うには、利益創出活動の各段階を通じてVEデータ管理を効果的に行い、その有効利用を図る必要がある。また同時に、VE活動は主に受注前に重点が置かれるようになり、受注前のVEデータ管理の重要性が以前にも増して高くなってきた。

そこで、本稿では受注前の利益創出活動の計画、実施、統制の各段階で利用するツールにより、利益管理の基盤となるVEデータの管理を一元化した利益管理を適正化する方法を提案する。

VEの実務において、従来よりもVE活動の時間は減少しているにもかかわらず以前より良いアイデアの発想を要求され、また、VE資格は取得したものの実務に活用できない者が少なくないという現象が見られる。こうした現象から、現在のVE活動が必要としているものとして、VE実務の短縮化と新たなアイデア発想技法の開発およびVE技法の簡素化等が考えられる。この問題を解決するために、本論文ではVEとは別の方法論であるTRIZをVEの中に組み入れ、両手法の長所を生かした新たな手法を提案し現状打開の一助としたい。

本論文は、従来のVEにおいて効果的な解決が難しい部分にTRIZの概念を導入し、VEが次世代を目指した新しい手法として位置付けられるように模索したものである。

社内のWSSにおいて約100チームが発想したアイデアを分析することで、機能表現の抽象化との関連性や有効性の確認をおこなった。取上げたテーマは「外部排水溝工事」で、機能表現としては「水を流す」とそれを抽象化した表現の「水を処理する」から、発想されたアイデアを比較検討してみた。その結果、ユニークなアイデアの出現率やアイデアの着眼点およびアイデア発想数などで顕著な差異が認められたため、建設のVE検討においても機能表現を抽象化することがアイデアの拡大に寄与することが判明した。

製品の機能を損なわずにその製造コストを低減すれば製品価値は向上する。あるいは製造コストを上昇させずに機能を上げることができれば同様に価値が向上する。このような製品の価値を向上させるために新規製品の設計・製造を検討したり、既存の製品の見直しを行うVE活動において、通常は製品が設計・製造され実際に販売され収益を上げることができれば一応の活動終了となる。しかしながら消費される製品は別として、ある程度の期間使用される製品は、物理的には減少することは少ないが、故障・劣化するなどしてその製品の持つ機能が低下もしくは欠落して使用価値が減少するものが多い。この価値低下を防ぐこともVE活動として捉えていく必要がある。

特に製品がまた次の製品を生み出すもの、つまり生産設備のようなものは、購入当初の価値もさることながら、長期間使用されるものゆえ、その価値の維持が非常に大切である。それが生み出す製品の価値をも下げてしまう危険性があるからである。そのため設備の機能の中には「各機能を低下させない機能」が含まれるべきであり、例えば劣化を防ぐ機能が盛り込まれた製品は、それがない製品よりも高い価値を持つと考える。そして製品が使用されている段階においても、機能を低下させない維持活動を管理することで価値は維持され、改良改善による性能向上は設備の価値を高めることにつながる。

従来のVEとして製品の機能を高めることで価値を向上させるという観点に加えて、製品の機能を維持することが結果的に製品の価値を向上させることにつながるというのが本論分の主張であり、主として生産設備を取り上げ、その価値の維持・向上のための管理方法について論じていく。

本論文は、企画VEを一層充実させる方法を商品企画プロセスの先行研究と、アンケート調査結果の考察を通して論ずるものである。

商品企画に関する先行研究からは、商品企画プロセスとは不確実・多義性・複雑性に富んだ情報処理作業であり、この不確実・多義性・複雑性への対応が商品企画プロセスの高度化の1つの方向性であるとの結論を得た。

また、アンケートによる商品企画の実態調査結果から、優れた商品企画プロセスでは、商品ロードマップが活用されていることが明らかになり、商品企画プロセスにおける情報処理の1つの方法として商品ロードマップの活用という方向が得られた。

そこで、本論では、企画VEを充実させるための1つの方法として、商品ロードマップの活用を通じた企画VEの方法についての提案を行う。