建設業は顧客から工事の注文を受け生産するという,受注生産形態を有している。つまり,顧客第一主義に徹し顧客の事業化を有利にして,はじめて工事受注を獲得できるという業種である。
この受注と生産活動を円滑に行うためには,顧客の事業化を有利にする方法が必要である。
このためには,今まで不可能とされていた工法を可能にし,また,社会・経済情勢の変化による建設費の変動を安定させる等の方法を創出する必要がある。
これらを実現する具体的な手法として,工法を創出するVE手法を作成した。
この手法は「工法の機能」と工法に対応する「作業手順」をマトリックスの関係に関連づけ工法を創出する手法で,以下にこの内容を提示しようと思う。
情報ネットワークを伴うシステムをVE対象とする場合,単独システムを効果的に稼働させ,その機能を満足させるためには他のいくつかの関連システムと相関させ,有機的に結合することによって始めて目的を達成するものが多くなってきた。
この論文では相乗(派及)効果を狙ったシステムVEの推進ジョブプラン及び評価法について述べた。
そのポイントは次の3つである。
(1)システム構成要素研究と連想キーワード設定による関連システム追求法
(2)ダイヤチャートによる独立したシステム機能ブロック関連評価法
(3)システムVEにおける相乗効果(派及効果)の評価法
当社ではこの手法を物流システム改善に適用し,大きな成果を上げることが出来た。
この手法を用いることは最少の投入工数で,大きなVE効果を得るために極めて有効である。
試作設計段階、さらに開発企画段階といったようにより源流段階でのVEの適用が注目される時代となった。
しかし他方では、VE導入期および停滞気味の段階における企業では、保守的な考え方の殻をどう破るかが大きな問題である。
本論文は、この問題について掘り下げを行うと共に、解決の一方策としての「現状打破の技法」を提案したものである。
さらに、当社における同手法の展開事例を通して、この問題に対し本技法が有力な道具となることを示した。
エンジニアリング業務,特に構造解析評価業務のようなエンジニアリングサービス業務では,顧客ニーズの迅速でかつ正確な把握とサービス性の向上が不可欠となってきている。
本論文では,エンジニアリングサービス業務において顧客ニーズの把握から具体化までの一連のステップに係るVEC手法を考察し,それに基づいてサービス性評価因子分析システムを開発したので報告する。
最近の商品ライフは顧客要求の多様化、価格競争の激化等により益々短く成ってきている。この様な中で従来どおりのVAの進め方、すなわちVA対象を1製品のみとした活動ではVA活動への投資の面で非常に効率の悪いものとなる。本論文は、これを打破し効率的かつVA成果の長期化が図れるVAアプローチ法を紹介するものである。
それは、新商品の企画段階からアプローチするものであり、商品戦略は1機種開発とすることなく必ず系列化をする事を前提とし、VA対象を今後商品化するであろう商品も含めた商品群で捕らえ、顧客ニーズ、技術動向情報をベースに系列化コンセプトを明確にして、共通技術を先取りしたモジュールを抽出し、これを徹底的にVAするものである。これにより顧客要求の多様化、市場変化に耐え得るVA活動となり、VA成果の拡大と投資効率の向上が図れるものとなる。
VE活動の機能的見方によるアイデア発想活動の,体系的手順化を論じている。具体的には,
(1) アイデア発想チームへ,真のテーマを明かさない発想の工夫
(2) 機能表現を拡張した願望追求発想の導入
(3) アイデア発想活動を意識した機能分析の工夫
(4) アイデア具体化レベル順に発想法を変える工夫
をもとに,物中心の即物的発想から,機能中心の斬新な発想を可能にした。アプローチ1~5は,願望・希望列挙発想,機能・特性列挙発想,テーマ背景列挙発想,欠点列挙発想,マトリックス発想である。
建設業界では,長年にわたって若年労働者の入職率の低下による技能労働者の不足と高齢化のために生産性の低下や労働災害の増加などの問題をかかえている。
これらの問題を解決するために,VE的な思想をベースとした方法を考案し,その内容と手順をまとめている。すなわち,現場の生産性の向上に直接寄与することの可能な「建設作業所における省力化」を目指す生産手段のVE手法である。
この手法では,種々の管理技術や改善活動に用いられている改善のヒントの「キーワード」を利用し,VEの手順にそってその「キーワード」を問いながら改善のステップを進め,改善案の立案に結びつけることとなる。
その手法を適用した結果では,作業性向上と省力化工法や設計に効果があることが実証されている。この論文においては,この事例を示しながら内容の説明を行う。
様々な企業のVE導入が進み,製品の価値向上競争が熾烈になっており,VE活動のアイデア発想段階におけるキーワードの適用は,極めてその効果が期待されるところである。
基本的なキーワードの作用はアイデアを出し易くする事であると考えられるが,実際にキーワードは我々の頭脳の中で,どのような作用を及ぼしながら,価値の高いアイデアまで到達する事ができるのだろうか。
本論文はキーワードの機能が隠れた情報の顕在化にあるという仮設を立て,思考経路を3つのパターンに分けて分析し,物質名詞キーワード(自然・創造物キーワード)による発想検証の結果を踏まえながら,キーワード発想のあり方とこれからの課題について述べる。
商品寿命の長い製品に対しては,2nd Look VE活動が有効であるが,ビデオディスクやビデオ・オーディオテープのように全世界共通の規格にて設計内容が厳しく標準化されている製品では,VE適用上の問題により充分な成果が得られないことが多い。
本論文ではこの原因を分析し,VE適用対象の取り上げ方,VE対象の機能と制約条件との関係分析などに工夫を加え,上記製品に対する有効な手法として,「制約条件-機能系統図」を考案し,新しい2nd Look VEの適用方法を研究した。
「コスト(原価)の80%は開発設計で決まる」と言われるように,コスト生成プロセスの大半を担う設計者に対するコスト・モチベーションとも言うべきものは非常に重要である。しかし「コストは変動するもの」という言葉通り,不確定な原価を明確に設計者にイメージづけるのは意外と難しい。
コストトレンドとは製品の誕生前から終息までをスルーしたコスト推移曲線を指す。
昭和57年からの取組みの結果,コストトレンドはその形成の課程で,コスト管理機能を充分に果たすことが明らかになった。また従来機種のコストトレンド群はそのドキュメント性をもって,これからの機種のVE活動のポイントを示唆してくれ,商品企画への応用にも有用であることが実証された。本論はこのコストトレンドによるコスト管理の実際とその活用を報告するものである。