論文カテゴリー: VEテクニック 217件

VE活動において、ジョブステップを順に実施して、多数のアイデアを得る所までは、着実に到達できる。しかし、多数のアイデアの中から、良い改善案をつくるまでの各ステップはチームメンバーのスキルに非常に影響される活動であり、この各ステップが結果の成否を左右する。

本論文は、アイデア発想から具体化・洗練化のステップに至るまでの間のアイデアの組合せの仕方について、まず現在の方法の問題点を明らかにして、そこから解決するポイントを整理した。そして、問題点を克服する新しい技法を提案した。

これにより個々のアイデアを組合せてまとめる際の段差を着実に登り、製品に結び付ける事を助けることを意図した。

近年、教育訓練の分野でVA適用の期待が高まっている。本論文は、戦闘機用のパイロット養成を狙いとしたフライト・シミュレータ訓練価値について、基本的な考え方を述べたものである。

戦闘機パイロットの操縦能力には、操縦資質、操縦技術、戦闘技術、空中感覚及び空中判断が必要であると考えられるが、このうち、操縦技術と戦闘技術はシミュレータ訓練の得意な領域である。シミュレータ訓練における意義とは何か。また、実際の航空機を使った訓練と比べ、訓練課目、訓練の重み、訓練の有効度はどうなのか。

ここでは、シミュレータを使ったパイロットの訓練機能について問題提起すると共に、その価値を判断すべくケース・スタディを試みた。

VEの適用を歴史的に見ると、購買部門の価値の高い部品の調達に始まり、価値の高い製品やサービスの開発や構想へと進展し、昨今ではバリューマネージメントと発展し、経営改善へVEを適用することで大きな成果をあげるに至った。

本論文では、VEが経営という立場から改善・合理化分野を俯瞰することにより、広範な対象領域から、経営戦略に基づく多くのVEテーマを抽出する方法の研究とその推進方法としての企画部門から~事業所に至る関連部門の有機的な結合と継続的なVE推進法を研究することにより、多くの成果を納めたので論文として取纏めたものである。

その研究の要点は、①経営方針・経営戦略と事業所の経営事態のギャップ分析による経営合理化ニーズの把握、②シナリオ法応用による"経営の将来の姿"の具象化と分析・評価による広範なVEテーマの抽出、並びに③巾広いVEテーマの長期経営戦略にリンクし、VE関連部署間の有機的に結びつきを持った、一貫したVE活動の推進方法について、事例をふまえ提示するものである。

業務用機器のライフサイクルが短くなる中、目標の品質・コストを短期間で効率よく、達成することが望まれ、企業浮沈のカギを握っている。

機器開発における問題点は、設計者の主観的なところで進められているところが多く、結果としてコスト目標は達成できず、またトラブルも多い。

そこで、システム設計をVE手法で、システムの最適化を信頼性向上アプローチで行い、設計意図を忠実に機能・機構に反映することにより、目標のQ・C・Dを達成する方法を考えたい。

4年前にVE全国大会の研究論文として発表した現状打破の技法「WHY? & REALLY?法」の適用事例と基本の考え方を関西地区のVE大会にて発表する機会を得た。

その結果、大会参加者からかなりの高い評価を得ることができた。

また同手法を当社におけるVE活動の種々の局面で展開した結果、開発当初予想していた以上の応用領域の広い手法であることを改めて認識することが出来た。

そこで、展開の過程を踏まえながら、同手法を再分析し、展開編として報告する。

VEの基本的指針ともいえる「価値向上の原則」は、他の手法には見られない極めて特徴的な理念である。しかし、この「価値」とは分子分母の関係における比率尺度であること、そして必ず比較対象を有する相対尺度であることから、環境条件や観測者の違いによって様々な評価がなされ、その取扱いに苦慮する場合が多い。とりわけ、近年の急激な環境変化や価値観の多様化は、売れる商品づくりのための「価値の見極め」を一層困難なものとしている。

本稿では、顧客が認める価値のメカニズムを明らかにし、それを感度良く捉えることで、顧客ニーズを見逃すことなく構想案の提案まで持込むための一連の考え方と手順を検証された一手法として紹介する。

顧客自らによる評価を機能評価の段階で取り入れることは、より顧客のニーズに合致した改善案を生むために有効である。

ここでは、(ゴルフ場建設の)設計段階のVEを事例にして、抽出した機能をアンケート調査によって収集した顧客の評価要素によって機能評価する方法を検討した。

評価法には数値解析を用い、美しい、使いやすい、安心できるといった定性的な評価要素を定量化し機能と関連づけることで、より客観的な機能評価ができるようにしている。

発想法には種々のものがあるが、VEジョブプランにうまくフィットするものが比較的少ない。この論文では、既存の発想法を、VEのジョブプランに適合させるため、発想の原理と共に、大脳生理学や、社会心理学上の考察を加え、考案した「3分間発想法」を紹介する。

「3分間発想法」には、「発想の間口を絞る」「発想中は発言禁止」「発想後はアイデア自慢を行う」等の10原則を設け、実施に当たっての規範とした。

また実施の結果多数の現実的アイデアが得られ、多数の特許出願等、多くの成果を得ることができた。

わが国の主要企業において、VE活動の「アイデアの具体化」のステップにおけるコスト見積の実態は、正常な(現有設備等による従来の延長線上)コスト・レベルで行われているのが約70%であり、理想的な(実現可能な最経済的)コスト・レベルで行われているのが約10%程度となっている。

ところが、正常なコスト・レベルと理想的なコスト・レベルの差は、製造技術の進歩が著しい現在、小さくない。

従って、VE活動の目的である「機能を果たす多数の手段の中から、最も合理的・経済的な手段を選び出す」ためには、改善案検討時のコスト見積は最経済的製造手段を追求した、実現可能な理想的なコスト・レベルで行う必要がある。

本論文では、「アイデアの具体化」のステップで、最経済的な製造手段を追求したコスト見積をすることにより、次のような改善が可能であることを述べる。

1. コスト見積が適切にできることから、改善案の価値改善率を高めることができる。

2. 特に外作品につき、改善案作成時に、算定したコスト見積値を目標にした、取引先との共同VE等により、外作品の価値改善が促進できる。

企業の経営環境の変化が激しい今日においては、極端な社員の流入、流出が有り得る。企業内でVAを導入し、それを展開して、適用分野の拡大を図り、その企業独自のVA管理システムが一時期完成したとしても、これのメンテナンスを怠ると短期間にVAポテンシャルのレベルを引き下げてしまう場合が多く見られる。VAのポテンシャルを維持、向上させていくためには、導入期と変わらないほどの、ときにはそれ以上のVA普及の工夫と努力が必要である。

VA活動の推進管理方法として、従来、節約額などの目に見える成果を推進管理の指標として管理してきたが、それ以外に、企業内のVA推進部門は常に組織のVAポテンシャルに視点を置いて実態を把握することが大切である。なぜなら、VA活動の陳腐化は、「VAポテンシャル」と「VA推進管理目標」とが整合していないことが原因で起こることが多いからである。そこで、VAポテンシャルが毎年変化し、又同時に各個別組織でそのレベルが一様でない場合において、この二つの要素の不整合によるVA活動の陳腐化を最小限にするために有効なVA推進管理目標の設定方法を提示する。

尚、本論文でいうVAポテンシャルとは、組織全体のVA活動の潜在能力をさす。