論文カテゴリー: マネジメントとVE 62件

建設産業の近代化、合理化、構造変革と大きな転換期を迎える中で、我々、専門工事業の体質及び組織の自己変革が求められ、今までの慣習を捨て、企業として新たな組織つくりが重要な経営課題となった。

ここで我々の経営活動に価値を創出するには、どの様な思考プロセスを身につける必要があるかと言う点で、環境変化情報と我々の願望とを読み取り、現在との比較を行いながら取り組んだ「組織変革へのアプローチ」の検討内容を提示する。

本論文は、従来のVE概念を発展させ、V=F/Cの概念式にあってFの今日的思考Cの真のライフサイクルコストの捕え方をベースに、新時代に対処できるような新しいVE概念について考え、それに基づいたモデル式を提唱し、ワンサンプルによるモデル式の検証を行ったものである。

一言で述べると価値概念の総合化を狙ったものであるが、Fの従前の使用価値概念から、商品やサービスを提供する企業や、それらのライフサイクルの間に発生する多くの価値、廃棄に至るまでの社会に与える価値に発展させたものである。

具体的には省資源的要素に時間関数を考慮する事により商品ライフサイクル間(発売~廃却)での価値変化を面積で評価するものである。

更に、資源の再利用の時代を控え、廃却時にリサイクル率を評価する事により総合価値評価に近づけると同時に、廃棄していた資源の再利用による新たな価値の発生、価値変化に連続性を持たせ再利用段階に於ける価値評価への期待を残している。

このモデル式を適用する事により生産側での総合的な商品評価が可能になり、前段の社会ニーズに適合した商品を開発する際のツールの一助となり、更に言えばVEのより広範囲な適用へ繋がる可能性を秘めた概念であると考える。

今日、企業は21世紀に向けて大きな変革期の中にある。環境・社会構造・人々の価値観は、いずれも従来の枠をこえた新たな課題を提起している。こうした状況下において、健全な経営のカジをとるには、課題そのものを探索する能力と、それを解決する能力の2つが同時に要求されている。我々は、この課題探索と課題解決のために、経営の中にVEを組み入れ、企業の成長・発展をめざすべきであると考える。

本論文では、今後のVE活動には次の3点が重要であることを論じ、その具体的な展開法を述べる。

1. 経営の基本的構造と、メカニズムを常に視野に入れる。

2. 経営課題の抽出から関与し、VE課題の選択へと連結する。

3. VEの成果は、経営指標向上ヘの寄与度でとらえる。

VEを導入して、着実に前進させるには、綿密なVE展開計画をたてて推進することが効果的である。本論文は、各企業でのVE展開計画(VE推進中期計画)を実戦的に作り上げることを目的としている。

そのために、企業の風土、VEのしくみ、戦略の三要素を取り上げた。この三要素をバランスよく展開実施するために、VE展開ブロック図によりレベル診断を行い、各企業の"あるべき姿"とトレードオフしながら計画の枠組みを作り、目的展開系統図を用いて、価値あるVE展開計画を立てることを特徴としている。

当事業所の製品群は"エネルギーと情報をつなぐ"ための電線,ケーブルおよびこれらのシステム製品である。近年これら顧客の生産体制並びに販売ルート等の変化に伴い,多機能,短納期の要求が強く打ち出されて来ており顧客ニーズに立脚した組織的な推進がより重要な課題となっている。

本論文は,こうした時代の変化に対応した全社組織のVE活動を構築したものである。『顧客の要求因子』をベースに,要求ニーズをより正確につかみそれを製品に反映させるマネジメントVEを行い,より高価値を生み出す体制作り推進の有効ツールとして考案したものである。

わが国にVEが導入されてから,はや20数年が経過した。当初,VEは,経営レベルによって導入されたこともあり,マネジメント・レベルでのVEに対する関心は,非常に強いものがあった。

その後,年月を経るに従って,技法の実践的側面だけが急速に進歩し,実践技法とVEマネジメントとの間の距離は,次第にひろがって行った。

製品をただひたすらに製造するだけで,大きな利益を得ることができた高度成長期には,技法独走型のVE活動から得られる成果だけで,企業は十分満足することができた。しかし,安定成長期に入り,環境が変ると,このようなVEだけでは,企業が必要とするVE成果の達成は困難になってきた。

ここで再び,企業経営に結びついたVE活動の必要性が浮かび上がり,「経営に密着したVEの展開」('85年大会スローガン)すなわち,VE推進マネジメントを模索する時代へと突入した。企業会計とVE成果額との結びつきをテーマにした研究会が発足したのも,この流れを示す1つの事例である。

本大会のスローガンである「VEによる経営効率化への挑戦」もこの流れを示すものである。

本論文は,このような背景から,企業経営とVEをどのようにして結びつけるかをテーマとして取り上げ,その基本的な考え方をまとめたものである。

近年の低成長経済下における産業界においては,特に顧客ニーズの多様化やコスト要求の激化から,VE活動そのものも,それらに対応した多様化が要求され,ハード面のみならずソフトVEの推進等あらゆる局面への拡大が不可欠となってきている。こうした状況の中で,VE活動をいかに企業経営にリンクさせ,拡大充実させてゆくかが大きな課題となっている。

従来のTFP活動のみでは対応しきれない問題をも含めて,企業内でのVEの位置付けから発生するであろう全員参加型のVE活動が,今後増々その重要度を増してくることと思われる。また,それらをいかに効率よく運営・管理し,VEの高度化を計るかが問題であり,VE活動全体の評価がどうしても必要となってくる。

本論文は,全員参加型VE活動を推進するに当っての諸問題を解決すベく,その評価システム,すなわちVE管理システムについて,そのあり方を提言するものである。

建設VEの技法は設計,施工(作業所),運搬,協力企業へのアプローチなど,日本VE協会からも多くの資料が発表されている。これらは,いずれも諸先輩が,いかに建設業の中にVEをうまく導入していくかを真剣に研究してきた貴重な資料である。

そこで建設業の特徴となる要求をあげてみると

①個別受注産業であり,個々の設計により生産されている。

②ー商品の寸法が大きい。

③一商品の金額が高価である。

④ー商品のライフサイクルが長い。

⑤工場ともいえる生産現場が,一商品毎に変り,一定していない。従って生産設備に該当する仮設物の構築,撤去もー商品毎に行われる。

⑥屋外作業が多く,労働環境は必ずしも良くない。

⑦商品の構成材料が極めて多い。

⑧アッセンブリー産業である。

⑨設計図書が与えられ,生産だけを受注するものが多い。

以上のような事情が組み合わされている点が,建設業の特徴であるということができる。

すでに発表されている建設VE資料は,いずれも建設業特有の問題点の追求が多く,システム産業として実務を遂行する場合には,これらの技法を,いかにアレンジして効果をあげていくかが重要である。

われわれ建設業に従事する者は,担当セクション単独で行うVEの他に,建設物を作る過程で,各技術者グループ相互の横のつながりにより行われる,いわゆる横断VE(トータルVE)を実施してきた。われわれは,更にすすめて企画設計から施工までの縦の流れを,組織的段階に実施する縦続VEを導入し,これらをジョイントさせ,二次元的にVEを展開していくことにより,VE効果を飛躍的に向上させるVE推進方法を,ここでは,特に"ジョイントVE(JVE)"と称し述べる。

設計施工工事における上記のような横断VEと縦の流れを行う継続VEとは,一つのVEをまとめあげる過程で,VEメンバーの果す役割りに明らかな違いがあり,あえて,これを用語の上でも区別し,その定義を明らかにしている。

建設VEは,一品生産であり1つのVE改善は一つの商品のみに適用され,量産品のような反復効果は,あまり期待できない。そこでVEによる改善内容はベストよりもベターを選び,その分,少しでも多くのVEテーマに挑戦し,改善をはかることが重要である。

そこで一つの工事で,多くのVEテーマを効果的に推進して行く方法として,JVEを提案する。発注者から与えられた条件をもとに,一つ一つのテーマをJVEの考え方により展開拡大させ,より良い製品を作るということは,極めて効果的なことであり,大いに推進すべきである。

以上をまとめると,次のようになる。

TVE(トータルVE):一つのテーマを広い範囲で実施するVE。

JVE(ジョイントVE):一つの製品を作る過程で多くのVEテーマに取り組むVEの推進方法。

現在,企業をとりまく環境は,非常に厳しいものがある。すなわち,メカトロニクスや先端技術などの急速なイノベーションの時代を迎え,また大幅な短納期要求や,小ロット化,低コスト,高信頼性など,顧客ニーズの多様化,高度化が日増しに強くなってきている。

このような,時代のニーズに迅速に対応し,企業として発展をしていくため,当工場では現在,N-MOPPS (New Market Oriented Products and Production System) 運動を展開している。この内容は

①強い新商品の早期開発

②最適生産システムの拡大充実

③仕事の質の向上

であり,工場をあげて鋭意取り組んでいる。

この中で,製造部門に課せられた重点テーマは,

①短納期や小ロット化に対応したライン作り。

②大幅な,直接加工費のコストダウンである。しかしこのような課題を確実に実現していくためには,従来,スタッフ部門主体であった製造合理化を,製造現場主体で推進できる実力を早期に養い,スタッフ部門のパワーを新商品開発,新技術開発に集中していく必要がある。

一方,より高度の合理化を推進するためには,従来の分析手法だけでは限度があり,どうしても機能追求による発想の転換や組織的な力が必要である。さらには,職場全体の合理化の活性化を計るためにも,VAの思想や手法の浸透が急務であると考えられる。

このような,工場の背景と,製造現場におけるVAの必要性を考慮し,当工場に適した製造VAの検討を行い,昭和55年度よりVIQ活動を導入し,重点合理化プロジェクトから,大衆運動まで結びつけ,当面の課題消化と,今後の合理化に対する人材育成を指向し,現在,成果をあげつつある。その組織的展開と,内容および特徴について紹介する。

近年,製品のライフサイクルは,短くなる傾向にあり,新製品,既製品のモデルチェンジを行う期間を短期間に実施することが,激烈なる市場競争に,勝ち残る条件となってきた。

VA活動を,新製品の開発,既製品のモデルチェンジを実施する時期に効率的に運用するため,アイデア比較評価法を適用,効果をあげた。

アイデア比較評価法の特徴は,要求機能,制約条件に対応するアイデア発想と,アイデア発想から具体化されたモデルに対し,要求機能,制約条件毎にアイデアを評価することにより,VA活動期間を短縮,効率運用をはかっていることである。

以下,アイデア比較評価の内容について述べる。