論文カテゴリー: マネジメントとVE 62件

VEの適用が製品やサービスの価値向上に成果をあげていることは様々な事例から示されている。さらには、機能とコストの大部分が決まってしまう開発の上流段階でVEを適用することにより、その成果は拡大する。したがって原価企画活動の目標達成には開発上流でのVE適用が有効である。
VE活動を次に示すとおりフェーズ1、2と段階的に活動の仕組みを改善し、原価企画活動における開発上流でのVE適用比率向上を図り、原価企画の目標原価達成比率100%継続と活動対象機種の売上高比率向上により、経営に貢献した。
(1)フェーズ1:推進事務局が主体で活動し、活動体制と仕組みを構築した。
(2)フェーズ2:フェーズ1で構築した仕組みを活用し、設計部門主体の活動への移行により開発上流段階におけるVE適用の仕組みを定着化させた。

「VUCA時代」の「経営VE」を進める上での課題は、激変する経営環境に対して、経営戦略をいかにスピーディにシフトさせるかである。そのために、中長期経営計画の策定や戦略管理、組織の変革、事業再構築の実施、経営システムの構築などをスピーディに実行する必要がある。これらの施策をスピーディに実行させるためには、企業価値の現状を正しく、スピーディに把握することが最も重要である。本研究では、スピーディな企業価値の現状把握をする手法として、企業の合併や買収などの際に対象となる企業の価値やリスクを詳しく把握するために実施される「デューデリジェンス(DD:Due Diligence)」とVEを融合させた企業価値評価技法を開発した。これにより企業の現状価値を正しく、スピーディに把握し、経営戦略をスピーディに策定できるようになるものと考える。

特定の製品やサービスの価値を向上させようというときには、VE 実践活動を効率的に適用して目標を達成するマネジメントが必要になる。
本論文では、特定対象へのVE実践におけるマネジメントの問題点を問題点系統図にまとめ、その中から重要な問題点を5つに絞った。その問題点の解決策を『新・VEの基本』『 VEハンドブック』や過去のVE研究資料等の文献からポイントをまとめ、その効果的な解決策を「VE実践活動におけるマネジメント成功の5つの要因」として提案し、事例による有効性の検証結果を報告するものである。

当社は半世紀にわたり経営と連携したVE 活動を継続しており、建設業の特殊性に対応しつつ全社的VE 活動を行っている。そして、子会社化に伴う新たな経営目標を達成するため、従来から行ってきたVE 活動の大幅な改善を行なった。そこで、本稿ではこの6 年間の取り組みを紹介し、建設会社の全社的VE 活動を活性化するために実施した様々な活動やそのために開発・適用した手法であるQVE とVE サークル活動を紹介する。

経営改革手法として、製造業を中心に成果を出してきたバリュー・マネジメント(VM: Value Management)であるが、非製造業と呼ばれるIT企業や商社、保守、飲食などのサ ービス企業でも、バリュー・マネジメントによって、効率的な業務と価値ある新サービス の創造で企業価値の向上に取り組む企業が増加している。成熟化する国内市場では、「モノ からコトへ」の消費の変化によって、今後もサービス企業は増加が期待される。 そこで、サービス業の経営改革手法として、より効果が出るように、ワークアウトや Fast Works といった経営改革手法とバリュー・マネジメントを融合させた、新たなバリュー・ マネジメント手法(顧客指向バリュー・マネジメントVMC: Value Management for Customers)を開発した。より高い満足を迅速に顧客に提供するために、効率的な業務と価 値ある新サービスの創造を加速し、企業価値を向上させる経営改革手法である。

コスト競争力の強い新製品をつくるためには、「原価企画活動を主体的に進める開発設計者だけでなく、この活動を支援し、開発設計者と共同推進する部門とり わけ原価企画を行う部門の強化が必要である。その役割は、対象製品に関連するメンバーを選定し、目標原価達成に向けた方向性を示し、確実に目標原価達成に 導くことである。すなわち、この部門が原価企画を効果的に支援し共同推進できる力(以下、原価企画支援力、略して原企支援力と呼ぶ)を持ち、個々の原価企 画対象製品に対して原企支援力が十分に発揮され目標原価達成に向けて効果的に活動ができていることが最も良い姿である。そこで本論文では、次の2点につい て述べる。第一は、原企支援力の評価基準を作成し、現在どの程度の支援力があるのかを把握する方法である。具体的には、原企支援力に対して評価対象を決 め、そこから評価項目を決定していき、評価方法を確立し、それに従って基準を作成する。そして、その基準に基づき評価指標(以下、原企力指標と呼ぶ)を作 成することである。第二は、原企力指標の向上施策を立案し実行することにより、個々の原価企画活動を高度のレベルで実施できるようにすることである。この 指標を自動車部品業界の原価企画活動に活用してその有効性を述べる。

日本の経済成長の背景には、製造業の発展が大きく関係している。その発展にVEの存在は欠かせないものである。戦後復興に大きな役割を果してきたとも言える。一方で、製造業以外の一般企業では、VEの考え方を企業経営に導入して発展をしている企業はあまり多くない。むしろほとんど見当らないのが残念である。

VEの最大の特徴は、機能的研究法、すなわちファンクショナル・アプローチにある。その考え方は、企業経営を助ける優れた考え方である。多くの企業が行っている現行の経営に直ぐに導入できる程、汎用性が高いものである。例として、SWOT分析、3C分析、4P理論、ブルーオーシャン戦略、パーキンソンの法則、ピーターの法則を挙げる。

そして、企業経営に必要な4つ(経営、営業、管理、改善)のシステムを提案し、そのそれぞれにファンクショナル・アプローチを組み込んでいくことで、これからの時代を生き残る企業としての経営上の示唆を与える。

経営者やプロジェクトリーダーの多くは、限られたリソースをどのように配分し、全体の価値を最大にすることを常に考えている。筆者は、限られたリソースの配分を最適化し、価値を最大にするテクニックを開発した。

VEは、問題解決に優れた方法論である。それを、経営やプロジェクト全体に適用するためには、複数の問題解決を同時にマネジメントする必要がある。全体の価値は、個々の価値の総和ではなく、リソースの総和と機能の達成度の総和の比であるということを、図で表すことができた。その図が価値管理曲線(Value Management Curve)である。

価値管理曲線を身に着けることで、企業やプロジェクトの特徴を分析することができると同時に、多くの経営企画や事業企画の一助となるものである。

顧客ニーズの多様化や製品ライフサイクルの短期間化に対応するため、製造業各社の開発製品数は急増し、製品開発プロジェクト価値をいかに向上させるかが重要な課題となっている。そこで、多数の開発プロジェクトにおいて、プロジェクト価値向上のためにバリューマネジメントをいかに行っていくか、またいかに組織展開していくかについて提言する。VE技法とプロジェクトマネジメント技法とを融合させた新たなバリューマネジメント技法について述べる。

戦略としてVE活動を行おうとする場合、経験豊富なVEL資格取得者がおり推進体制があるにも関わらず、最適にVE活動が行われない場合が見受けられる。この事象は戦略を実行に移すための仕組みであるマネジメントコントロールシステムの不備が原因であると考えられる。

組織が求めている適切なVE活動が行われている状態をE=1、VE活動を行うために必要な資格や経験などの能力と体制がある状態をC=1、VE活動メンバーや関係者にとって、VE活動を自ら進んで行いたいと思う状態をW=1、VE活動を行わねばならない状態をS=1として、それぞれの状態の関係をE=C∩(W∪S)とする。この式を事例に当てはめ、マネジメントコントロールシステムの視点からVE活動の阻害要因を分析し、対処法を検討した。このような、マネジメントコントロールシステムを活用した効果的なVE管理をVEコントローラーシップと呼ぶことにし、本論文ではE=C∩(W∪S)のうち、S=1を作り出すことで効果的にE=1とするVE管理について一般化することを試みた。