長引く景気低迷のなか、目標利益が得られない等、厳しい状況下で受注するケースが多発している。企業が永続的に発展するためには、このような状況下においても顧客満足を得ながら目標利益を確保することが不可欠である。本論文はこれらを可能にするための『建設業における原価企画システム』について提言する。原価企画システムはコストを切り口とした一連の管理活動であり、それは企画提案から施工に至る過程で体系化されたVE活動を効率的に実践しながら、確実に目標利益を得ようとするものである。これらを総合建設業の立場から展開するものである。
建築生産活動の中で企画から維持管理まで広範囲な分野に関わる設計部門では、効果の大きな川上でのVEや、潜在需要の発掘や事業化推進の有効な手法としての建築設計VEの重要性が高まっている。
本論文では建築設計部門内部で行われてきたVE活動の分析から問題点の把握を行い、今後の効果的なVEの活用法の提案を行うものである。
大競争時代下で価格競争の厳しい家電業界では開発製品に対して、厳しい目標原価の設定と開発期間の短縮が必要である。しかし、収益確保に必要な厳しい目標原価を達成できずに製品化する事例がある。
本論文は目標原価未達の課題を改善するために、開発設計段階の目標原価達成手法である原価企画活動を1994年から実施してきた事例について目標原価未達の原因を分析評価した。この結果に基づいて、原価管理とVEを具体的に融合させてVE担当者が目標達成意欲をだせるシステマティックで組織的な活動をコンカレントにできる実践的な原価企画とVE活動システムを開発したのでこれについて述べる。
製造業における新製品開発は、まったく新しい分野の製品を開発するというよりも、基本機能は変わらない現行品の類似品であったり、改良型の製品である場合が多い。そのような製品を従来より安くするためには、作り方を見直さなければならない場合が多い。すなわち、開発初期段階での生産性改善が重要となる。
しかし、製品開発初期段階でのVE活動において、生産性を評価し改善する技術は、VEではまだ充分に研究されていない分野である。
本論文は、製品の生産性を向上させるために、開発初期段階で、生産設備のVE活動を実施し、その活動の中で製品の生産性改善を行うことを提案するものである。
顧客が仕様を決めてくれ,それに合うものを作ればよい時代から,顧客が世界のどこからでも良いものを選ぶ時代になり,「どう作るか」より「何を作るか」,すなわち商品企画の段階が重要になってきている。
本論文はVAをとりまく商品企画と検証に最重点をおいた「売れてトラブルのない商品づくり」の仕組みの構築をめざしたものである。
「売れる商品」は生産財の場合は顧客の儲けが大きいことから,「顧客の利益V=顧客の収益F/顧客の出費C」として価値分析することにより,定量的にセールスポイントを抽出することを可能にした。又トラブルは変えたり,変ったところからおこり,70%以上が検証不足が原因であり,品質分析表(品質機能展開)により,洩れのない検証を実現した。
近年、化学反応系材料製品の開発設計は、高機能化・高信頼性が求められる一方、開発期間短縮に対する要求も強くなってきている。この相反する要求に対応するため本稿では、開発設計段階における信頼設計法として、VEの機能分析とQCの信頼性設計を融合したFDM法 (Function Dispersion Matrix 法) を提唱する。これは、物の流れ(反応メカニズム)を軸として、対象製品に必要な機能と現在起きているバラツキ原因とを対応させ、機能と機能達成レベルを同時に改善する方法である。
本論文は課題把握と課題分析の段階で、ユーザーの立場にたった新しい価値観を創出し顧客の満足のみならず感動をも得るための商品企画案作りの一方法を述べている。
まず、対象テーマについての現状を把握することから始める。現状がどうなっているのか、企業や市場のニーズが何であるのか。そのためには対象テーマを取り巻く環境を多角的に把握しなければならない。そこで願望と問題点という観点から課題を把握するのである。
次に、この課題把握で得られた真のニーズである願望を達成するため、願望と問題点をマトリックス化し『ユーザーの立場に立った価値観』で情報を分析、整理する。そして、これらをもとに新商品や新サービスを創り出すためのベースとなる『商品企画書』を作成する。
物質的な過飽和社会の中で、顧客に満足を与える商品を創造するためには、商品企画段階における徹底した価値の追及が必要である。しかし、「価値」という言葉のもつ曖昧さにより、その核心を突くことは、極めて困難である。本論文は、価値工学の立場から概念的な商品価値を実体的な商品価値として把握し、その追及を容易にした。具体的には、まず新商品とは何かを明確にするために、企業の立場から新商品を3つの種類に大別し、さらに使用価値型商品と感性価値型商品という2つの対極を設定した。次いで、再上位機能の定義の中に、副詞または形容詞の活用という考え方を導入し、新商品に高い価値を付加する技法を確立した。最後に、従来のVEの基本式を分析し、各種の商品戦略(8つのVE戦略)に活用できる新しい価値の方程式を提起した。その結果、VEの活用により、強力な訴求点をもつ商品の企画が容易になると共に、企業の商品戦略に直結したVE活動の展開が可能になった。
当工場の製品群の特徴は,多品種少量,ハイテク製品である。近年,高度技術の具現化を図りつつ開発期間の短縮が要求され,顧客ニーズに立脚した製品開発の効率的推進が,より重要な課題となってきている。
本論文は,開発VEジョブプランの各ステップに対応して,必要情報が得られる開発VEサポートシステム(情報バンク)を構築し,これを活用することによって,顧客ニーズに適合した新製品をタイミング良く開発していく一手法である。これまでに成功した例のうち,走査形電子顕微鏡を事例として示す。
新製品の開発に当たって,開発プロセスのどこでコスト・品質を作り込むかが,そのプロジェクトの開発効率に大きな影響を及ぼす。
目標コストに到達しないが故に,開発後期に再設計,再検証などの作業を強いることも多い。
そこで,VE手法を中心に,当社にある各種CR手法を組み合わせ,実施タイミング,責任部署等を整理した『コスト展開フロー』を作成し,最適活用を図った。
また,各種のケースに合った多くのCR手法がマニュアル化されているが,活用時に,最適のCR手法を選択するために"CR手法選択のためのツール"が必要となり,これを『コスト攻略マップ』としてまとめた。