論文カテゴリー: VEの適用局面 118件

通常のVEジョブ・プランでは,装置産業の製品を対象として活動開始した場合,工程でのみ利用される物(例えば,原材料を溶解させるための水や有機溶剤,触媒等)は機能系統図に表わしにくく,製品の生産のために使用するすべての原材料をコストダウンの検討対象とすることは困難であった。

本論文では前記問題点を,工程毎に機能系統図を作ること<機能系統図の立体化>により解決した。

その結果,機能別コスト分析も工程毎(立体的)に行うことになったが,その際の構成要素に原材料の他,経費に関する項目を追加した。

こうすることで,極めて簡単な方法で,原材料,経費両面にわたる大きなコストダウン成果が期待できる。

建築工事における作業所管理には,職員不足等多くの問題が生じてきた。

そこで,昭和62年6月より,少人数でかつ短時間で工事費全体にわたり,VE検討を行い,又バランスのとれた工事計画を立案するシステムを展開してきた。

ここでは,そのVE計画,テーマの選定,重点VEの指定,VE報告の簡素化等VE展開の流れと,そのツールとしてのVEチェックリストおよびVEヒント集について報告する。

建設企業の営業には,工事受注高を拡大する営業目標がある。この目標を効率的に達成するため,有効な営業戦略を立案し,営業活動を展開することが必要となる。

この営業戦略には,次の3つの戦略目標があると考える。何れも終局は,工事受注を目指すものであるが,その戦略構成は段階的に少しずつ異なる。

1. 『工事を受注する』ための戦略は,複雑な戦略の構成になる。

2. 『受注対象の新規顧客を獲得する』ための戦略は,かなり限定された戦略の構成になる。

3. 『受注確度を高め,将来に期待をつなぐ』ための戦略は,前述の中間的,平準な戦略の構成になる。

これらのことから,『工事を受注する』複雑な戦略立案の方法を重点に,営業VE手法について述べるものである。

科学的管理技法としてVEをわが国に導入して以来,各産業分野でそれぞれ独自に技法の改善,開発が行われて来た。

当社においても昭和44年にVEを導入して以来VE成果をさらに拡大するために,より効率的な技法の研究・開発に取り組んでいる。

本論文は,VEに標準化の考え方を取り入れ,より一層VE成果を拡大するために,当事業所で行っている標準化VE活動と,VE技法の概要について述べる。

当佐和工場は,自動車機器専門工場として,昭和43年に設立されて以来,顧客第一主義をモットーにし,製品機能をより確実に,より安く達成することを使命と考え,全従業員の総力を結集してVEC活動を展開してきた。

しかし,昨今の急激な円高ドル安の進展等世情の急変により,より一層の価値改善努力が急務となってきている。

そのため,製品開発段階では,0 Look-VECとか1st Look-VEC という形で,構造方式面に力点を置いたVEC,さらに生産段階では,2nd Look-VECとして生産性,組立性に力点を置いたVEC等あらゆる局面で一段と強力なVECの展開をしてきている。

その一環としての当工場の,主力VEC展開に製造VECがある。

この製造VECは主として加工費を対象とすることから,その実施に際しては,加工(組立)の現状を早く正確に把握し,その問題点やネックポイントを深く認識の上,改善ポテンシャルの摘出から多くの良質のアイデアが創出できるようにすることが重要である。

そのために,製造VEC手法として工程や工程要素分析等の各種分析技法が用いられてきたが,いずれも対象部品(作業)のみに分析範囲を絞った技法であるため,改善された結果が,他の類似機能部品(作業)と比較しベストの価値改善ができたかどうかは必ずしも明確でなかった。

本論文は製品機能をより確実にし,製造上の価値を向上させるため過去のベストな類似機能部品と各要素について対比し弱点部分を改善するヒントの摘出からアイデアの発想を容易ならしめ,価値を上げていく技法である。

なお,当社では61年9月より従来使用していた"VA"の呼称を"VEC" [Value Engineering For Customers:顧客指向の価値改善] [マーケティングに基づく顧客ニーズを踏まえた開発段階からの活動] に変更したので,本論文では全て"VEC"と表現している。

以下その内容を紹介する。

装置産業と言われる電子部品製造は塵挨の関係上,分析するための作業状況の把握や,微細作業の解析が困難であり,VECのアプローチが充分出来ないといった先入観があった。この問題を解決し電子デバイスに合ったVEC手法を開発し適用した。これは,信頼性およびコストに最も影響する要素である不良を指数化して,それを基に工程機能分析,不良要因系統図を作成し,要因分析マトリクスにまとめ,それをベースにアイデア発想を行うものである。特にこの種の評価にあたっては一つのアイデアが多岐にわたって影響を及ぼすため,それを総合的に評価把握するのに,バードチャート評価表を用いて,改善後の不良指数を推定し,アイデアの検証を試み,改善の前後で不良指数を比較検討するものである。

VEが対象とする価値は使用価値,貴重価値及びコスト価値である。われわれが,あるいは建築主が金を支払うのはその物の持っている「ハタラキ=機能」に対してである。このユーザー(顧客)が要求する働き(機能)を最低の投資で作り出し,ユーザーの満足を高めることがVE活動の目的である。VE活動の対象となる物は大きく2つに分類できる。その1つは,初期に投資する金額を重点的に考えれば良いもの,もう1つは,初期投資以上に使用期間中,すなわち機能を発揮している期間を通して必要な費用を考えなければいけないものがある。VE活動はややもすると初期投資金額の低減,コストダウンに目がむきがちであったが,初期投資だけではなくライフサイクルコスト(LCC)でのコストダウンを目標とすべきである。今回建築設備の中の給水揚水システムを一例として,システムの機能を「システム信頼度を80%以上に保持する」ことを条件に,ポンプ等を複数台設けた場合(冗長設計した場合)と1台との場合でLCCがどのように変わるか試算を行った。冗長設計されたものは当然初期投資コストは上昇するが,LCCで考えると必ずしも不利にはなっていない。建築設備のように機能をいかに発揮するかが重点のものは,特にLCCでコストを評価しなければならない。また,LCCで評価する場合にも,途中での交換時期をどのように決めるかが重要であるが,この機器の交換時期を各機器の信頼性データをもとにしたシステム信頼度を一定以上(80%以上)に保つことを条件に決定した。

なお,ここでいう信頼性のデータは,機器の交換(理由のいかんを問わず)を故障と見なして算出してあり,信頼度とは交換されていないものの割合を表している。

建設業には品質管理の導入が遅れていたが,近年急速に品質管理への関心が高まり,各種の品質管理手法が導入され徐々に成果を上げている。しかし,手法の適用範囲,適用方法に混乱があるように見受けられる。その原因として機能定義・評価に不十分な点があるように見受けられる。

VE技法は機能本位の考え方で価値向上を目差すものであるから,顧客が求める価値を製品の品質に置き換えることにより品質向上,品質保証が可能であることに着目した。品質機能展開,FMEAなど品質保証の技法によりVEテーマを決定して,VE活動を実施する手順と数年間の研究実績とダム工事における実施例を述べる。

本論文はVA活動に対してコンピュータを導入し,VA活動そのものの効率化を図ることを目的とする技法について述べたものである。

社会構造の高度化に伴ない,大規模・複雑なシステムが要求される時代である。当工場は受注生産方式にて,製造している,製品が多いが,顧客要求に対し,要求機能の最大限達成と提供価格の低減を行うとともに,当工場内に発生するコストの低減に対し,VA活動を行い,適正な利益確保を行っている。顧客を満足させ,企業利益を確保する期待に応えるためにVA活動の拡大と有効な活用が望まれている。高度情報社会を迎え,コンピュータの活用が各分野において適用されているが,VA活動分野への適用も例外ではない。このような環境の中でVA活動に必要な客観的分析,コスト分析,アイデアの多面的組み合わせ,ビジュアル化,整理およびデータベース化など人手作業では大変な作業となる部分をコンピュータの持っている特徴を備えたツールの適用によりVA活動を支援するシステムの完成がバリュー・エンジニアの間で望まれるようになってきた。本論文はこのような背景からシステム計画技法TUPPS(Tool,User and Project-Planner System,以下TUPPSという)とコスト情報システムをVA活動に融合させ,人手作業をコンピュータ処理に置き換え,VA活動の効率化をはかる,システムの構築例を示し,その内容の要点を紹介するものである。

ここでは機能整理から機能系統図,アイデア整理からアイデア体系図等,VA活動で最も重要視されるジョブプランに,システム計画技法TUPPSを中心に構築したVA機械化システムによるVAの展開,およびVAコスト情報の収集に対する原価構成ツリーへのコンピュータ応用について述べ,VA活動作業の効率化へ,いかに貢献できるかを示すものである。

建設の市場は,経済成長の減速・社会資本の充実にともない,狭くなっていくのが当然ではある。しかし,企業は,そういった環境の中でも発展していかなくてはならない。むしろ,経済成長を加速し,社会資本を,さらに充実させる使命が建設産業にある。

建設業は,受注産業といわれているように,請負契約で工事を受注して,生産し,顧客に納入する形態である。つまり,顧客からの工事の発注があり,それに建設業者が応札し,受注して,はじめて工事をすることができる。こういった工事発注・受注という流れの中で,受注競争が展開されている。そして,建設業者が工事を受注する段階,逆に顧客からみれば発注する段階では,すでに顧客側の計画は定っており,設計図書・仕様書等は,でき上っていることが通常である。このような条件の中で受注競争に勝つ力は,コスト競争力になるわけである。しかし,この時期でのコスト競争による営業活動だけでは,受注が難しいのが現状である。決定済みの機能を安く作る営業活動には,自ら,手法・範囲が限られてくる。さらに,逆に顧客のニーズとは,かけ離れたものになることも多い。建設コストを下げることのみ,受注戦術とした場合,営業活動の範囲が限られ,受注のチャンスは少なくなる。

この壁を破り,顧客の求めているものに答えることが必要になってくる。具体的には,顧客の立場になって,機能アップ・価値向上をはかること,さらに顧客の新しい事業意欲を喚起して,社会資本として価値のあるものを作ることなどを,営業活動の対象にとり入れることが必要である。

そのための手段として,営業活動にもVE手法を適用し,「営業VE」と称する手法を開発した。この論文では,営業VEの内容を詳述する。