論文カテゴリー: VEの適用局面 118件

VEを狭義に理解した場合,それは利潤追求のための原価低減のための手法として認識される。しかしその真髄とするところは「価値の概念」と「機能の追求」およびその組合せである「全体の効率」を追求するものであろう。

こう考えるとトータルとして考えた場合,QCもIE,あるいはソフトのシステムについてもテクニックが違うのみで,その狙いとするところは何ら変るところがない。

しかし重要なことは「VEには決った手法がない」と言われるように,VEは概念規定が主であり,この概念規定をそれぞれの分野における専門技術,および管理技術としてのQC,あるいはIEといった具体的な手法を用いて実務家が,いかにテーマを具現化するかと言った点にあろう。

したがって,これから述べようとするところは,VE的な概念をもちいて,我々が指向しているコンピューターを中心とする購買管理業務をいうソフトウェアのシステム作りについてである。

VEの思想は,ユーザー・オリエンテットである。すなちユーザーは,必要とする機能を最も少いコスト(ライフサイクル・コスト)で得たいとする欲望を持つ。一方,機能を提供するメーカーは,ユーザーに対し,必要機能を確実に保証すると同時に,この機能と最低のコストで入手出来ることを約束し,一層の満足度を与えなければならない。

そのためにメーカーは,ユーザーの認める機能とコストとの関係を,製品の開発設計段階で徹底的に追求(First lookのVE)し,ムダな機能とコストの発生を未然に防止させたり,生産準備,製造段階でこれを改善(Second lookのVE)に鋭意努力を積むのである。

VEの目的は,最低のライフサイクルコストで必要な機能を確実に達成することである。VEは製品の価値改善手法として,これまで主に機械工業において,製品の設計製造段階で適用されてきたが,最近は装置工業においても設備の使用段階への適用がすすんでいる。

VEの基本は,徹底した機能追求の思想であり,ジョブプランにもとづいて具体的な価値改善活動を展開する。このなかで,機能定義と機能評価のステップは,VE活動の範囲と方向を決定し,その成果と効率に大きな影響を与える重要な段階である。

VEを特徴づける機能追求のテクニックは,これまで製品の設計製造段階での適用面において開発されてきた。しかし,VEを設備の使用段階に適用する場合に,これらのテクニックを,そのままあてはめることは適切でない。組立製品を対象とする設計製造段階VEと設備の使用段階VEとには,いくつかの相違点があるからである。この論文では,設備使用段階のVEにおける機能追求の方法を検討する。

大福機工株式会社においては,VAとかQCといったグループ活動がなされています。これは,われわれグループメンバー7名が,"品質係の価値向上"と題して,昭和45年10月から昭和46年3月迄の期間で,事務の仕事を,VA手法によって改善するべく活動して来た事例です。

内容は,決して感心するようなものではないのですけれども,こういった踏台の上に,VAの今後の発展を期待して応募したものです。

一般的に,企業間の取引品目の発注契約の際に,明確なVE契約によって,VE提案を義務づけている場合は少く,報奨金支払の取り決めを行なっているに過ぎないのが,現状と思われる。

取引先業者のVE提案を,より活発化させるためには,VE提案の採用に伴なう効果を,業者へかんげんし,その努力にむくいることが大切である。すなわち,VE提案を行なうことにより,業者の利益が増し,受注が安定することを,実証する必要がある。

VEを実効あるものとするには,業者の協力体制を整備し,業者の"ちえ"を活用しなければならない。もしそうでなければ,VEは,たんなる精神運動となり,親企業とのつきあい上,やむを得ずVE提案を提出することになり,購入コスト低減の強力な技法とはいえなくなる。

当社にVEが導入されたのは,昭和38年6月,購買部内にVE事務局が設置されたのに始まる。

戦後,経済界の非常な発展と,各業界の技術革新のさなかにあって,各企業は経営の合理化,利潤の追求なしには,激しい時代を乗り切れず,落伍するため,種々の管理方式を導入し,成果をあげる企業も多かった。その経営管理方式の1つとして,VEがアメリカより紹介され,昭和34年頃から導入する会社があらわれ,現在では約2,400社がVEを導入している。

各企業により,導入の動機は違うが,やはりコストダウンの手法として,またコストチェック等を目標にしていると思われる。導入後の展開もまた,千差万別であろう。

当社の導入の動機は,やはりコストダウンによる利益の増大と,コストチェックを目標としていた。また,VEによってセクショナリズムを打破することもあった。こうしてVE事務局は,活動を目標に向って開始した。

当社の如きアッセンブル・メーカーの場合,購入部品(生産用)のすべてが,必らず一度は購買セクションを通過するのと,外注業者との接触が一番密接である等の理由により,購買部門にVE担当者を配置したのである。

高度選択社会といわれている現代の技術社会において,技術開発そのものも複雑化し,多様化して,変身している。この高度に複雑化した技術社会における研究開発の分野も同様である。

この論文は,このような技術社会における研究開発(R&D)のプロセスは,如何にあるべきか,また,そのプロセスの中で,価値工学(VE)は,どのように適用されていくかを中心に論じたものである。

新製品開発へのVEの適用というと,一般に要求仕様から展開するファースト・ルックVEが考えられるが,ここに紹介する方法は,類似機能をもつ製品から展開していく方法である。すなわち,類似機能製品の機能系統図より基本機能だけをとらえ,この基本機能を満足する二次機能,部分・部品機能をアイデアにより展開して,これを評価して新製品としての機能系統図を作成し,これを具体化して新製品を開発していこうとする方法である。したがって,この方法は,要求仕様から展開していくファースト・ルックVEに比較して,革新的な新製品開発は望めないかも知れないが,現有の製品をVE手法を用いて,着実に改善した新製品を開発することを可能にした方法といえる。

現有製品を市場の動向や要求にマッチするように改善した新製品を開発することに対する要求は,企業競争が激化の一途を辿っている今日,ますます強いものになっていくことは自明のことであり,この方法の適用が拡がっていくと考える。

この方法は,要求仕様から展開していくファースト・ルックVEと,いわゆるセカンド・ルックVEとの間に位置し,また類似機能製品の基本機能は要求仕様の一部と考えられることから,強いて名づければ,セミファースト・ルックVEと呼ぶことができる。