論文キーワード: 反転機能系統図 2件

建築工事におけるVE検討は、設計・見積・調達・施工の各段階において、受注拡大や利益確保のために実施されている。施工段階においては、施工方法を改善する施工VEを積極的に行うべきであるが、施工VE提案数は多くない。これは建築工事に適合する効率的な施工VE手法が確立されていないためと考えられる。また、設計仕様変更によるVE検討は広く行われているが、この手法だけではコスト低減は限界に近づき、コスト低減に有効な施工VEの手法が求められている。

ここでは建築現場の生産性向上を目指した施工VEの適用ノウハウを提案する。製造業を参考にして、共同VE、現場観測、機能系統図の効率的作成方法などを適用した。この手法を実際のプロジェクトに適用し、十分な成果を確認したので紹介する。

建築工事においてVE検討は原価低減のために計画、設計、見積、調達、施工の各ステップにわたり日常的に行われている。特に近年は顧客の機能・コストについての要求が厳しく、効果的なVE手法が求められていた。一方、建築物は構成部品が非常に多く、建築物全体を大きく捉えてVE検討対象を効率的に絞り込むことが難しかった。今回考案した手法は、短時間で建物全体を大きく捉えて価値の高い代替案を提案することを目指した。

なお、本論文は第32回VE全国大会にて柏原氏が発表した「建設VE検討におけるテーマ絞込み法」を発展させたものである。建築工事費の「工事項目の金額比率」に注目して対象分野を絞り込む方法に加えて、本論文ではさらに「①面積あたり工事項目金額」「②面積あたり数量・容量」「③設備容量あたり単価」の値に注目することにより、VE検討の対象テーマを絞り込む方法を考案した。この手法を用いて実際の物件にて検証を行った結果、手法が有効であることを確認できた。