著者のことばより
バリューエンジニアリング(VE)は、企業の合理化や開発・改善・コストダウン等の有力な手段として、製造業を中心に発展してきた管理技術です。コストを正面からとらえ、機能と発想を重視した課題解決の進め方は、建設業の体質にもよく適合しており、厳しい経営課題を解決していく上で強力な武器となります。
本書では、建設業の皆さんが各領域で発生する課題を解決するためにVEをいかに活用したらよいのか、実践例を挙げながら示しています。VEは決して難しいものではなく、これまで私たちが頭の中で考え実践してきたことを、より合理的・科学的に整理し、組織のもつ知恵が結集できるように工夫されたものにすぎません。
建設業は伝統的にも他の産業に比べ従来の実績にこだわる面が強かったため、おもいきった改善や開発が比較的少なかったのが実態です。しかし近年では行政側においてもVEの研究や議論が活発に行われてきており、神戸市等ではVE奨励条項付契約も実施されつつあります。日本に隣接する台湾や中国、 韓国においても政府レベルでVEによる改善・開発を奨励しています。