わが国にVEが導入された当初は、主に製造業で活用され実績をあげたVEは、今、建設分野において注目され、官民の建設ライフサイクルの各段階で取り上げられています。発注機関や企業で実施され、その成果は、新聞報道などで知られています。
一般に設計段階のVE実施の成果は大きく、その重要性が知られています。わが国では、建設の設計段階での適用事例は比較的少なく、実施についていくつかの疑 問点が指摘されています。たとえば、建築設計でのVEの実施は設計業務の流れを妨げることにならないか。VEチームと設計者の協調関係をいかにして保つの かなど設計者や設計業務との調整問題があります。技術的な疑問は、計画段階で建物全体を対象にして機能分析などのVE理論をどのように適用すればよいかなどです。
建築設計VE実務規準開発研究会がまとめた「建築設計VEマニュアル」は、これらの素朴な疑問点について建築設計者とともに考えるという 姿勢を保ち、一つひとつに分りやすく解説を加えています。内容は、建築設計へのVEの適用・支援効果を高めるVE・VE適用の段階と体制・VE運用の考え方・建築設計VEの実施・アメリカ標準規格「建築物と建築システムの価値分析(VA)を行うための標準実務規格」の紹介などです。
是非、皆様のVE活動に本書をご活用いただくことをお勧めいたします。