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「VE」と「県民参画」
公共事業に対する国民の批判や不信感は、相変わらず根強い。この原因として、地域の人々のニーズを十分にくみ取ることができないことや、計画策定手順が不透明になりやすいことなどがあげられる。そこで「県民が何を必要としているのか」「使用者が求めているのは何か」を把握し、「公共事業が見えるようにする」ため、計画の早い段階から住民の意見を聞きながら計画を策定する県民参画が、公共事業の現場で、導入されている。一方 -
「VE」と「社会資本整備基本計画」
人口減少時代への突入、少子高齢化の進展、地域間競争の激化など社会情勢が大きく変化しているなかで、道路、河川、都市計画等の社会資本整備のあり方が問われている。そのような状況のなか、2009年9月には「コンクリートから人へ」をキャッチフレーズに、民主党政権が誕生し、公共事業予算も大幅に削減された。国や地方公共団体では、公共事業の設計段階におけるVE(以下「設計VE」という)が導入されているが、効率的な -
公共事業の整備を早めるための実践的対策法
公共事業は、経済活動と国民生活を支える社会的使命を担っている。しかし、限られた財源と長い事業期間は、大きな課題となっている。コストを削減する技術は多くが提案されてきたが、整備を早める技術があまり提案されていない。そこで、公共事業の整備に関わる各段階において、それぞれに実践的対策法を提案する。すなわち、合意形成を早める実践的対策法、工期を評価する実践的対策法、機能発現を早める実践的対策法である。合意 -
公共事業における設計VEチームリーダーの役割と人材育成
本論文では、筆者が公共機関における設計VEチームリーダーとして直接関与したVEワークショップでの活動実績を踏まえ、公共VE成果をあげるためにチームリーダーが果すべき役割と課題を明らかにし、今後のリーダー育成についての方法を提起するものである。その背景事情には、政府、地方自治体では財政面での逼迫を受けて、公共事業のコスト縮減施策や価値向上対策の一環としてVEへの取り組みが活発な動きをみせているからで -
公共事業における価値向上施策展開とVEマネジメント
政府、地方自治体では財政面での逼迫を受けて、公共事業のコスト縮減施策や価値向上対策の一環としてVEの取り組みが活発な動きをみせている。公共VEは事業予算の有効活用と納税者、利用者に満足感を与える画期的な手法であるが、成果を生み出すためには運営体制の確実な整備と個別プロジェクト単位での推進マネジメントが重要な鍵となる。本論文では、地方自治体でのVE導入と個別プロジェクトの本格的なVEワークショップで -
設計VEシステム定着のためのガイドラインの研究
日本における価値工学は、昭和30年代、40年代の「部品VE」「製品VE」に始まり、現在では「マーケティングVE」「マネジメントVE」など、調達、加工といった段階から発展・発達し、効果の高い上流段階へのVE適用へと歩んできた。公共事業におけるVEも、その他業種同様に、上流段階であればあるほど効果が高いと考えられるが、実績の多くは下流段階に限られている。より効果的に設計VEを定着させるためには、発注者 -
公共事業における新しい価値の評価方法
公共事業は、利用者や事業工程など、一般の製品やサービスと異なる視点が存在している。公共事業へのVE適用が急増する近時において、その視点に沿った新しい価値の評価方法が必要となってきた。そこで、新しい視点の整理をすると同時に、新しい評価方法を導くことを試みた。まず、公共事業を評価する上で必要な要素を、機能、コスト、時間、手間の4つを抽出した。そして提案する評価式は、これまでの機能とコストの2つの要素で -
公共工事へのVEシステム導入に関する提案
日本の社会資本整備は、「標準多量型整備」から「個別吟味型整備」へ移ることが求められている。そのためには、「改善」という概念の導入が設計段階に必要となる。VEは、公共事業の改善に有効なツールである。しかし、その適用は、個々の業務で考えるのではなく、事業全体で考えなければ大きな効果が得られない。すなわち、バリュー・マネジメント(VM)である。公共事業へVEを導入するためには、5つの制度と4つの環境をシ -
設計VEの効果的な適用方法と公共事業への展開方法
公共事業に設計VEを適用する事例が、ここ数年増えてきた。しかし、製品やサービスのように、大きな改善効果が得られないケースがあるのはなぜなのだろうか。事例を重ねることによって、公共事業の特質と設計プロセスのマイナス要因が、重要な鍵となっていることが判ってきた。そこで、本論文は、公共事業に設計VEを適用するために必要となる公共事業の特質と、大きな改善効果を出すための設計VEの適用方法と、さらに、将来の -
公共事業の全実施プロセスにおけるVE活用策の一提案
昨今、年間市場規模50兆円と言われている公共事業は改革が求められ、顕著な改善効果がなかなか本質的に現れてこない。本研究は公共事業のプロセスに焦点を当て、それぞれの段階の課題を抽出する。これらの課題の中、特に発注者側が企画を練る段階に対し、管理技術VEを適宜に応用できる手法を提案することが主目的である。また、全実施プロセスに対しても分析を行い、公共事業の全体へのVE活用の課題提起も行う。
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