論文
社会インフラへの投資は、現在の社会活動のためだけではない。次の社会を支える未来の世代のための資産をつくり、それを継承することである。我々がこれまでに整備した社会インフラは、物を残すことではなく、必要とされる「機能」を未来に残すことが本質的な目的である。
社会インフラ整備におけるVE検討は、工業製品などと同様に基本的な実施手順に忠実に行われてきた。しかし、製品と社会インフラには決定的な相違点があることに留意しなければならない。それは単独で機能するか、複合で機能するかの違いである。
これからは既成の学問分野の狭い領域の中で問題解決を図るのではなく、一つの問題についても、複数の要素が関係する「社会システム」という枠組みの中で捉える必要がある。社会を構成するあらゆる要素を「機能」という評価軸で横断的につなぐ能力が問われている。
これからの社会は、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)などの進展によって、益々、複雑さを増して行くと考えられる。社会全体の価値観が多様化する時代にあって、社会インフラ整備にも新しい考え方が必要となっている。
本論文で提案する社会システムに着目した「事業の広義の捉え方」は、これからの社会インフラ整備のVE活用に大きく貢献できるものである。
目次
- 1.はじめに
- 2.社会インフラ整備(公共事業)の特性
- 2.1 社会インフラ整備の課題
- 2.2 社会インフラを対象としたVE検討の留意点
- 3.社会システムの捉え方
- 3.1 社会システムという価値の評価軸
- 3.2 社会システムの把握の概要
- 4.適用事例による検証
- 4.1 検討方法
- 4.2 対象事業の概要(交通混雑緩和を目的としたバイパス事業)
- 4.3 事業の狭義の捉え方(従来の方法)
- 4.4 事業の広義の捉え方(本論文で提案する方法)
- 5.事例による検証の効果と今後の課題
- 5.1 適用の効果
- 5.2 今後の課題
発行年
2012年 VE研究論文集 Vol.43著者
- パシフィックコンサルタンツ株式会社
VEセンター
主席研究員 - 斉藤 浩治 (VES)
カテゴリー
- VEテクニック
キーワード
- AHP
- 事業の広義の捉え方
- 事業の狭義の捉え方
- 社会インフラ整備
- 社会システム
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