製造VE詳細評価段階におけるタグチメソッドの適用

論文

最近の円高の進行、新興国の台頭により日本の製造業は、加工付加価値型の製品(高度な加工によって価値が高められている製品)を安く製造することが必要になってきている。加工付加価値型の製品における製造改善のVEでは、発想された加工条件変更のアイデアに基づきその組合せの技術性と経済性を詳細評価する段階において、加工条件変更のアイデアが多くなればなるほど、提案されたアイデアの条件すべての組合せにおける技術性と経済性を短時間で評価することが難しくなる。

そこで、製造改善のVEにおける詳細評価段階において、提案された多くのアイデアの組合せの効果をできるだけ確実にかつ短期間で評価する手法を適用することが必要となってきている。

そこで筆者は本論文にて、多くの条件(因子)の組合せを最小の実験回数による検証で定量的に評価できるタグチメソッド(Taguchi Method)を詳細評価段階で適用する方法を提案する。

本論文では、過去に実践した製造VEで提案されたアイデアのうち条件(因子)が多いものについてタグチメソッドを適用し、従来は数週間の試験によって求められる最適な組合せを6時間の試験で求めることができた事例を紹介し、タグチメソッドを織り込んだ詳細評価段階のあるべき姿を提案する。

目次

  • 1.はじめに
  • 2.VEとタグチメソッドについて ~タグチメソッドとは~
  • 2.1.ツールとしてのタグチメソッド
  • 2.2.VEとタグチメソッドの考え方
  • 3.タグチメソッド適用事例
  • 3.1.VE対象
  • 3.2.要求機能の確認
  • 3.3.機能定義・整理・評価
  • 3.4.アイデア発想
  • 3.5.アイデアの具体化および詳細評価
  • 3.6.タグチメソッドの適用
  • 3.6.1.タグチメソッドの適用対象
  • 3.6.2.対象工程のアウトプットの検討
  • 3.6.3.各因子の選定
  • 3.6.4.L18直交表割付
  • 3.6.5.L18実験
  • 3.6.6.要因解析
  • 3.6.7.確認実験
  • 3.6.8.実機検証による確認
  • 3.6.9.コスト評価
  • 3.6.10.本事例でのVE活動とタグチメソッドによる検証結果
  • 4.適用事例からの組み込みのあり方
  • 4.1.今後のVEでのタグチメソッドのあり方
  • 4.1.1.VEへの組み込みのあるべき姿
  • 4.1.2.タグチメソッドの機能展開による因子選定の提案
  • 4.2.VEに組み込む際のメリット・デメリット
  • 4.3.タグチメソッドの適用による有効性とその定量的評価
  • 5.まとめ

発行年

2011年 VE研究論文集 Vol.42

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