論文
公共事業に設計VEが導入されてから既に10年以上が経過しているが、社会的な変化に伴って一つの転換期が訪れている。事業の直接的な影響圏となる狭い範囲で評価するのではなく、社会環境を取り込んだ広い範囲を評価対象とすることで、真の社会価値を向上する必要がある。
公共事業の効用の評価に関して、それを提供する側とそれを享受する側の評価には、少なからず評価の相違が発生している。その原因は、公共事業を提供する側が考える達成すべき機能の捉え方が限定的であることが原因となっている。
この問題を解消するための方法は、事業評価項目を転換することであり、対象地域の使用者要求機能を基本とした評価項目を設定する必要がある。事業の恩恵や影響を受ける使用者を多面的に把握した上で、「相互関係型」によって必要な機能を抽出することを提案する。
また、使用者の要求機能を抽出する方法にも、特長の異なる複数の方法を用意し、対象事業の特性に応じて使い分けることが必要である。本論文では、感性アンケート方式、問題点反転方式、地図による機能抽出方式、の3方式を提案する。いずれもまだ適用事例が少ないことから、今後、適用対象を拡大して機能抽出方法として確立する必要がある。
目次
- 1. はじめに
- 2. これからの公共事業にVEが果すべき役割
- 3. 公共事業における要求事項の抽出
- 4. 要求機能の評価方法
- 5. 適用事例(地図による機能抽出方式の適用)
- 6. おわりに
発行年
2010年 VE研究論文集 Vol.41著者
- パシフィックコンサルタンツ株式会社
総合研究所 VEセンター - 斉藤浩治
カテゴリー
- VEテクニック
キーワード
- 地図による機能抽出方式
- 性能等級法
- 相互関係型機能定義
- 社会価値最適
- 要求機能の抽出
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