論文
製品の機能を損なわずにその製造コストを低減すれば製品価値は向上する。あるいは製造コストを上昇させずに機能を上げることができれば同様に価値が向上する。このような製品の価値を向上させるために新規製品の設計・製造を検討したり、既存の製品の見直しを行うVE活動において、通常は製品が設計・製造され実際に販売され収益を上げることができれば一応の活動終了となる。しかしながら消費される製品は別として、ある程度の期間使用される製品は、物理的には減少することは少ないが、故障・劣化するなどしてその製品の持つ機能が低下もしくは欠落して使用価値が減少するものが多い。この価値低下を防ぐこともVE活動として捉えていく必要がある。
特に製品がまた次の製品を生み出すもの、つまり生産設備のようなものは、購入当初の価値もさることながら、長期間使用されるものゆえ、その価値の維持が非常に大切である。それが生み出す製品の価値をも下げてしまう危険性があるからである。そのため設備の機能の中には「各機能を低下させない機能」が含まれるべきであり、例えば劣化を防ぐ機能が盛り込まれた製品は、それがない製品よりも高い価値を持つと考える。そして製品が使用されている段階においても、機能を低下させない維持活動を管理することで価値は維持され、改良改善による性能向上は設備の価値を高めることにつながる。
従来のVEとして製品の機能を高めることで価値を向上させるという観点に加えて、製品の機能を維持することが結果的に製品の価値を向上させることにつながるというのが本論分の主張であり、主として生産設備を取り上げ、その価値の維持・向上のための管理方法について論じていく。
目次
- 1. まえがき
- 2. 購入後の設備の価値低下の問題現象
- 3. 購入設備価値の概念
- 4. 購入設備価値の表現
- 5. 購入設備価値向上の主体者
- 6. 設備の機能維持・向上のための方策
- 7. 設備価値向上の検討
- 8. 設備価値維持向上活動の今後の課題
発行年
2007年 VE研究論文集 Vol.38著者
- 株式会社ジェムコ日本経営
第二事業本部 テクノロジーマネジメント本部 - 原正俊
カテゴリー
- VEテクニック
キーワード
- 保全機能
- 機能喪失
- 機能欠落
- 設備価値
- 設備分析
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