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建設業の性能発注におけるVEアプローチ
建設業の性能発注におけるVEアプローチ
フジタ工業株式会社横浜支店設計部:大髙正晄
建設業においては,昨今,顧客から,建設する施設,建物に対して,必要とする性能(遮音性,断熱性,クリーン度,振動etc.)を満足させることを発注条件として要求してくる形態が増えてきている。現在,花形産業である超小型集積回路,ラジオアイソトープ………等のハイテク関連施設はもちろんのこと,他の用途の施設,建物においても,今後さらに,顧客からの発注条件は増加する傾向にある。我々はこれを"性能発注"と称し,従来の一般的発注と区別している。
当社にVEが導入されて,約17年,VEの対象として施工部門の領域から,思考領域を広げ,設計部門の領域より,さらに遡った企画段階までに及んでいる。性能発注への対応は,この企画段階に位置する。
われわれが"性能発注"を依頼された時,まず対応しなければならないこととして,要求される諸性能を十分に把握することである。
事例の少ない施設,建物に要求される諸性能は,往々にして,抽象的,感覚的,または他の事例からの参考的数値で表現されることが多い。
過剰設計におちいらず,要求された性能を満足する適正なものを提供するためにも,われわれは要求される性能に対して,可能なかぎり数値的にとらえ,この数値をもとに,顧客の要求する性能の再確認をし,整理を行う。このことは施設,建物が完成した後において,要求される性能についてのトラブルを防止することにもなる。
機能,性能,品質は相互に密接な関係にある。どれも日常の生活用語であり,ことさらに意識をしないで使うことが多い。
本来は機能を明確にした後に,性能を具体化することが一般的であるが,建築設計においては,まず要求される性能を整理して,内包される諸性能を明確にした後に,機能定義をすることが多い。