論文
建設業が一品生産であり,VEの量産効果があまり期待できない以上,少しでも多くのVE改善テーマに取り組み,改善件数でそれらをカバーしなければならないことは,過去の論文で述べられている。
これまで当社の作業所VEは,VE対象選定会議(VE計画会議)によってVE対象の摘出を行っている。従来,ここでとり上げられる対象は,主として顧客の要求する機能や,それらを達成する手段として二次機能を中心に検討されてきた。これは設計図書や見積書を中心にしたVE対象の選定であり,機能的側面を最重点にしてきたためである。
1つの建造物を建設するには,その地域の自然的特殊性を理解し,さらに法令や行政指導を満足するなど,さまざまの外的な制約条件をはじめとし,安全や品質確保のため,種々の企業内規程を順守しながら,設計図に示されたものを構築することになる。
作業所VEでは,それらの制約条件に対して,いかに対応するかが施工上重要な鍵であるが,従来,施工経験の豊富な,いわゆるベテランと呼ばれる人達の勘にたよりすぎていた点は,大いに反省すべきところである。
今まで,これら制約条件に対し,何の抵抗もなく通りすごしていたVE対象選定の中で,今一歩,追求を加え,果して「本当に制約条件であるか否かの掘り下げ」と,「制約条件をVE対象として,積極的にとりあげる」などVE対象選定のトータル化と,一層のVE活動の活性化を目指して研究を続けてきた。
この論文では,制約条件に対するVE対象選定の考え方と手法について,その内容を詳述する。
目次
- 1. はじめに
- 2. 作業所VEとVE対象の選定
- 1) 従来のVE対象選定と問題点
- 2) 従来の制約条件の考え方
- 3) VE実施例分析と制約条件の新分類法
- 3. 制約条件の定義
- 1) 制約条件とは
- 2) 表現方法
- 3) 事実の摘出
- 4. 制約条件とVE対象の摘出
- 1) 手法の展開
- 2) 制約条件にもとづくVE対象の摘出
- 5. 制約条件摘出会議の展開例
- 1) 工事別(工種)による手法の展開例
- 2) 工程別による手法の展開例
- 6. 制約条件と今後の展開
- 7. おわりに
発行年
1983年 VE研究論文集 Vol.14著者
- フジタ工業株式会社
工事本部 土木統括部 - 小田勤
- フジタ工業株式会社
工事本部 建築統括部 - 鶴家健
- フジタ工業株式会社
工事本部 設備統括部 - 斎藤敏弘
- フジタ工業株式会社
工事本部 建築統括部 - 横沢勝弥
カテゴリー
- VEテクニック
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