論文
近年,東京を中心に,ホテルの新設が相つぎ,第3次ホテル戦争の様相を呈している。
しかし,今後,東京が国際都市として発展を続ける限り,まだまだ質の高いホテルの需要はなくならないものの,低成長時代といわれるこのごろ,コストは限定され,合せて機能の充実をはかることが,ますます,われわれ建設業に携わるものに要求される。
標準的な設計手法で,発注者の要求事項を,すべて満足するように計画すると,予算を超過してしまい,実現不可能な設計になってしまうことが多い。そのために,発注者の要求事項を,いかにしてコストの中に組み込んでいくかは,重要な課題となってくる。当社では,このように発注者の要求事項を機能に変換し,それを補足する2次機能との関連を追求して,限定されたコストの中で,いかにして機能を組合せて,無駄を省いていくかを研究してきた。
われわれは,研究の課題で,バイザウェイが開発したFunctional Analysis,System,Technique (FAST)ダイヤグラムへの展開による機能追求手法の導入を検討した。
FAST技法は,日本VE協会発行「VE資料24」にも述べられているように,教科書レベルでは,その有効性を説きながらも,実践面では,ほとんど活用されていないといわれている。
本レポートでは,建築設計で,発注者の要求事項を機能変換し,機能の整理を行うとともに,VEとして重要な情報収集を効果的に行う手法に結びつけていく方法を説明し,今後の活用の端緒とする。
目次
- 1. はじめに
- 2. VE改善の手順及びVEメンバー
- 3. 建築物全体に対する要求条件
- 4. 建築物の総合機能とコストについて
- 5. 要求事項の整理
- 6. 上位機能の抽出
- 7. ダイヤグラムの作成
- 8. ホテルの暖房,給湯に関する情報収集
- 9. 情報の整理
- 10. 改善案の作成
- 11. 評価
- 12. おわりに
発行年
1982年 VE研究論文集 Vol.13著者
- フジタ工業株式会社
東京支店 設備部 設計課 - 阿部浩輔
カテゴリー
- VEの適用局面
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