論文
建設業を取巻く環境は,年々きびしくなり,コスト競争の激化,顧客の低コスト追求などの中で,工事益を確保し,経営を安定させるためには,より一層の企業としての努力が必要となってくる。
従来も,それに対処するための普段の努力をしているが,上記の現状を踏まえ,最大限の効果をあげるべく,より一層,企業では本支店の組織をフルに活用し,その"ちえ"を結集する時であると言える。
建設業は,他の製造業等と異なり,個別受注産業であり,多くは一品生産型である。
1件1件の工事についての目標値を設定し,それの達成のための小さな努力の積上げが,結果として企業の工事益となり,それが企業を経営していくための糧となる。
従って,各工事の工事益の目標設定に対するVEによる工事益の確保のために,最大のウェイトをかけることが望まれるゆえんである。
当社では,昭和43年,VE手法の導入以来,その推進・普及につとめ,特に工事部門ではVE計画会議と3時間VE(VE会議)等の形で作業所に定着し,その活動を活発にすすめている。(VE計画会議と3時間VEについてはVE全国大会で論文として発表ずみ。)
工事部門のVE活動方針として,作業所VEの実践による工事益の確保が大きく打ち出されているが,それと同時に,その手法を活用し,目標設定とそのフォローに組織的な展開を行い,かつ,業務能率の向上をめざし効果をあげつつある。
以下に目標設定へのVEアプローチと,具体的な展開について述べる。
目次
- はじめに
- §1. VEと目標設定について
- 1. 工事部門における目標設定の概要
- 2. 従来のVE改善要素の摘出方法
- 3. 現状の問題点
- §2. 組織的VE展開の体制
- 1. 目標設定の機能分析と組織
- 2. 目標設定までの本社VE課のフローチャート
- §3. 目標設定への効率的なVEのすすめ方
- 1. VE改善要素の摘出の基本姿勢
- 2. VE改善要素摘出のチェックリスト
- 3. VE改善要素の判別規準
- 4. コスト把握とVE改善提案
- 5. VE情報の提供
- 6. 提案後のフォロー
- おわりに
発行年
1982年 VE研究論文集 Vol.13著者
- フジタ工業株式会社
工事本部 建築統括部 VE課 - 鶴家健
カテゴリー
- VEの適用局面
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