論文
われわれの工場では,エアコンを過去20数年間にわたり生産してきたが,その間,第1次・第2次のオイルショック,冷夏による減産,あるいは省エネ規制にともなうイニシャルコスト等のアップ要因を,企業独自に改善できる手段として,VE技法を導入し,改善をはかってきた。
導入初期は,セカンドルックVEが中心であり,やがて,設計段階におけるファーストルック,さらには,商品企画段階におけるバリューデザイン(VD)と上流段階でのVE適用に移行し,試行錯誤や多くの実践経験を重ねながら,企業経営指標に密着して,VE活動を展開してきた。
市場におけるエアコンは,常に最新技術を導入したコストパフォーマンスの高い商品,顧客ニーズに合った商品,あるいはライフサイクルコストの優れた商品が求められている。この市場ニーズを満たすために,最新のエレクトロニクス技術を駆使した商品,あるいは省エネルギーと快適さの機能を持った商品開発に,しのぎをけずっている。
エアコンの基本を構成する機能部品は,開発日限,開発費用,あるいは設備費用に多額な資金を必要とする関係から,仕様の見直し程度か,または,市場にある標準品をエアコン用の仕様に見直した程度で対応し,抜本的な改善をはかる機会が少ない。また信頼性確保のために,確認ステップを,長期にわたって実行し,事故を未然に防ぐことが重要である。しかし,機能部品の大幅な価値向上がはかれた場合には,エアコン全体に波及し,その効果は,非常に大きなものとなる。
そこで,機能部品の機能分野におけるコストの度合を把握して,(1)機能分野ごとに方式選定によるVE効果を狙うか,(2)機能部品のVE効果を狙うか,または,(1),(2)の両方を狙うか,狙いを明確にした上で,目標割りつけを行う方法を採用した。この方法によれば,改善の狙いが明確であるから,やわらかい改善額が把握でき,また,これらに関連する情報は集めやすい利点がある。
目次
- 1. はじめに
- 2. 機能部品の定義
- 3. プロジェクト目標の設定
- 4. 機能部品のVA展開ステップ
- 4-1 機能設計
- 4-2 機能部品の抽出
- 4-3 機能分野と機能部品のコスト相関分析
- 4-4 機能部品の機能整理
- 4-5 アイデアの発想
- 4-6 部分及び全体構想案の作成
- 5. まとめ
発行年
1982年 VE研究論文集 Vol.13著者
- 東京芝浦電気株式会社
富士工場 エアコン技術部 VAセンター - 佐野隆昭
カテゴリー
- VEの適用局面
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