論文
多くの企業がVEを企業の最重点施策として,多大の成果をあげていることは,周知の事実である。しかし,その内容をみると,製品を対象としたものがほとんどで,サービスいわゆるソフトウェアを対象としたものは,大きな成果を生み出すに至っていない。製品対象のVEも,実施段階で製品・部品の標準化と品質保証を確実に行わないと,間接経費はかえって増加し,トータルコストでは採算にのらない場合が生じてくる。
かかる背景より,ここ数年来,ソフトVEの重要性が注目され,多くの企業が力を入れてきているが,まだ実践的に使える手法が確立されていないのが,実状であろう。
製品VEが物を対象とした機能分析とすれば,ソフトVEは,究極的に人を対象とした機能分析となるので,ソフトVEの場合,基本的に,テーマの内容や性格,さらには個々の企業のニーズによって,アプローチのやり方やステップのすすめ方を,むしろ変えるべきであり,また,いろいろのやり方があってしかるべきと考える。
この実践ソフトVEは,いろいろ考え得るソフトVEのうちで,「誰にでも取り組み易い,実践に役立つソフトVE手法」のーつとしての展開を試みた。
本論文は,1977年,当社が本大会で「小集団活動を推進するためのVE手法」として発表した「問題反転VE」の論理を起点としている。「問題反転VE」は,その後,実用的ということを理由に,各社で大いに活用されているが,私自身,特に管理・間接部門において,社内外100回にわたる実践テーマによるWSS,TEPに適用した結果,大きな成果をおさめている。
本論文は,実践より得た体験をもとに,その思考展開を理論的に裏づけると共に,各ステップの留意点を整理したものである。実際の指導は,40枚程度のOHPによる視覚教育で行い,専らVEの体得に重点を置いているが,本論文は,VE rとして具体問題を解決する場合,少なくとも,これだけは心得ておくと得策であろうということを意図し,前半をソフトVEを進めるための理論的背景,後半をこれを実践するための実務的な留意点という形でとりまとめた。
目次
- 1. はじめに
- 2. ソフトVEの機能定義と対象分野の区分
- 3. 実践ソフトVEの思考展開
- 4. 実践ソフトVEステップ
- 5. おわりに
発行年
1981年 VE研究論文集 Vol.12著者
- 株式会社安川電機製作所
TQC推進部 - 天矢光治
カテゴリー
- VEの適用局面
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