論文
金型は個別発注生産であるため,発注者側(例えば,資材購買部門)で金型の事前分析を行なうことは,大変困難であるといわれていた。しかし逆の見方をすれば,金型は個別生産(1品生産)であるだけに事前に各種の分析や標準設定を具体的根拠に基づいて行ない,両者(発注者と受注者)が共通のベースで,両者の意志を十分に取り入れた型分析を行なう必要がある。
決して各担当者個人の経験技量だけに基づいた分析であってはならない。基本的な型製作方針に基づき,型分析を行ない,判断を必要とする部分に対し,経験や技量を結集していけばよい。このようにして作られた金型は,意思の入った金型といえるであろう。
ところで,最近の型製作技術の進歩はめざましく,NC装置付加工機,EDPによる型設計・製作,ワイヤーカット放電加工機等,型製作加工機の進歩のみならず,金型を構成する各種の標準規格部品の普及度合も高く,削って作る時代から,規格品の選択・組合せの時代へと移りつつある。つまり"金型づくりの改革"が行なわれつつあるのである。
一方,産業界にあっては,経済の低迷,需要の鈍化など厳しい環境下にあり,生産部門では多種少量生産の傾向がますます増大している。ということは,金型製作面数の増大,金型費用の上昇(コスト増大),金型切換頻度の増加ということになる。これらのことを考えると,発注者側での事前の金型分析,つまりは"金型への意志投入"ということは,大変重要な意味を持っているといわざるをえない。
今回,このような金型という技術的要素の強い分野にVE手法も活用し,資材購買部門がどのように取り組んだかを述べてみたい。
目次
- 1. はじめに
- 2. 金型発注上での問題点
- 3. 資材購買部門での金型への取組みについて
- 4. 要求事項の分析
- 5. 金型の機能と機能系統図
- 6. 金型の評価
- 7. 金型コスト分析ステップ
- 8. 型部品の分析検討法について
- 9. 金型構成部品での機能追求
- 10. 孔にも機能がある
- 11. 形状別(機能別)価格レベル
- 12. おわりに
発行年
1978年 VE研究論文集 Vol.9著者
- 松下電器産業株式会社
本社・購買助成部 - 山内英樹
カテゴリー
- 購買VE
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