論文
1960年代の高度成長期から1970年後半の成長期に移って,わが国企業の多くは攻めの経営から守りの経営へ転換し,その戦略も新製品開発主力製品のシェア拡大からコスト低減へと変ってきている。
このような,中で新製品の開発は企業にとって大きな問題となり,NO RISK的,防禦的となってきており,その新製品開発方針も技術革新型から市場革新・拡大型を重視するようになっている。
企業の製品をそのライフ・サイクルに従って導入・成長初期製品,成熟・安定製品,衰退製品の三つに分けると,1975年末における全売上に占める割合は,それぞれ13%80%,7%となり,1960年~70年代前半よりも導入・成長初期製品がかなり少くなり,成熟・安定製品が多くなってきている。
このような企業経営状態と低成長期とを考えあわせると,限りある資源,人材,時間をどのように有効につかって利益を上げていくか,企業体質改善をどのようにはかっていくかは,十分に考えなければならない問題であろう。
わが国企業の経営戦略は高度成長から低成長への移行に従って,その目的,手段共大きく変ってきているし,当然,その業種・規模によってとるべき戦略は異ってきている。その点,VAこそ企業戦略の基本であり,製品企画にVA手法を導入していくべきであると考える。
われわれバリューエンジニアにとって,ここで必要なのはVEすなわち機能定義・機能評価・代替案作成を行なうにあたって,市場条件・顧客の要求事項をどのようにとりあつかい,どのように製品企画において考えていくか,製品のライフ・サイクルとその市場の変化,価値観の変化をどのようにつかみ取っていくか,そして,それをどのように戦略的に製品企画に折り込んで考えていくかを実践していくことが必要であるということである。
このようなことを背景に,本論文では製品開発におけるVA展開に製品企画をかみ合わせ,VA戦略アプローチとして成功した当社の大形空調製品<カスタム・エアコン>を例にとって,いかにして成果を上げ得たかをのベ,その考え方の一端を発表する次第である。
目次
- 1. 緒言
- 2. 製品企画におけるVA戦略アプローチ展開の背景
- 3. 製品のライフ・サイクルに伴なうVA計画
- 4. 製品特質上より考えたVE展開
- 5. 経営戦略(PPM)に合わせたVE戦略
- 6. 製品企画のプロセスとVA戦略の展開
- 7. 大形空調製品におけるVA戦略の展開事例(1)く製品調査・市場戦略におけるVEプロセス>
- 8. 大形空調製品におけるVA戦略の展開事例(2)<魅力をもった価値の高い製品開発のKFS>
- 9. 結言
発行年
1977年 VE研究論文集 Vol.8著者
- 東京芝浦電気株式会社
資材部 VE推進担当課 - 相田敬明
カテゴリー
- マネジメントとVE
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