論文
今日の社会,経済情勢は,企業経営にとって非常に厳しいものがある。とりわけ,高度経済成長と,それに伴う建設投資の緩慢ない伸びが,企業経営にとって不可欠ともいえる建設業界は,かつてない試練の時代に突入している。このような情勢の変化は,企業努力の必要性と重要性を,ますます高めることになった。さらに,このことは,VE活動においても,何らかの転換を計るべき時期であることを意味している。
当社では,過去に大会論文等で報告しているように,建設の施工部門を中心にVE活動を展開し,成果を上げてきた。しかし,企業をとりまく外部環境の変化と,企業としての多岐多様な問題がクローズアップされつつある状況の中で,VEを,単に施工分野における管理技術としてのみ位置づけるのは得策ではない。そこで,施工分野の実績の拡大をはかりつつ,あらゆる分野のさまざまな問題に対して,VEを合理的かつ効率的に適用して行こうとする考えがなされるようになった。当社における「トータルVE戦略」は,このような背景のもとに打ち出されたものである。
トータルVEは,組織的かつ総合的に,企業利益の改善に貢献することを目的とする。そのために,VE活動の間口の拡大と成果の増大をはかる。しかし,トータルVEの本質は,単なる量的拡大ではなく,VEマネジメント及びVEテクニックの新しい考え方の導入と,その実践という質的な転換であり,この点が,この小論の主題である。
この小論は,以上のような基本的な考え方のもとに,VE活動を展開した結果,この考え方が有効であることが認められたので,紹介するものである。
目次
- 緒言
- 第1章 トータルVEの考え方
- 1. 企業体質の改善とトータルVE
- 2. トータルVEの考え方
- 3. トータルVE展開上のポイント
- 第2章 トータルVEの展開
- 1. 省力化へのVEアプローチ
- 2. 設計へのVEアプローチ
- 3. 組織へのVEアプローチ
- 結言
発行年
1977年 VE研究論文集 Vol.8著者
- フジタ工業株式会社
技術本部 VE課 - 岩崎武俊
- フジタ工業株式会社
技術本部 VE課 - 安倍公博
カテゴリー
- マネジメントとVE
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