VEによる標準化の進め方

論文

ステレオ業界は,ポスト・カラーの掛け声に競争が一段と激しくなり,ことある度に,企業内合理化が叫ばれて,VE,標準化等の合理化手法が口にされてから久しい。しかし,実情は,なかなか,これ等の手法の日常化に至らず,それには幾つかの理由が考えられよう。その代表的なものを挙げると,

(1) ステレオ商品は趣味嗜好の多様化商品である

(2) 技術の進歩が早く安定期がとらえにくい

等であろう。ところが,近年生活水準の向上に伴い,商品に対する要求は,ますます多様化し,企業間の新商品企画競争の激化は,商品のライフサイクルを極端に圧縮してきた。その結果は,部品点数の急増と,部品のライフサイクルの短縮化となって,大量一括発注によるコストメリットを無くし,部品在庫の増加と共に,企業体質の弱体化の原因のひとつにもなりかねない。これを決定的にしたのが,オイルショックによる材料費の高騰である。業界内の販売合戦とコスト競争に対処して,当ステレオ事業部も,企業体質強化の長期戦略の一環として,従来のVE,標準化活動をより強化し,展開させることになった。今回の標準化の推進は,商品設計及び生産技術面を中心として実施され,初めてVE手法を適用した柔軟で機動性に富む標準化が試みられて,ようやく第1次目標を達成することができた。本論文では,このVE手法による標準化の実施例を紹介し,実施法の1方法として論じてみたい。

目次

  • 1. まえがき
  • 2. ステレオ業界の実態
  • 3. VEによる標準化の基本的考え方
  • 3-1 VEによる標準化の基本思想
  • 3-2 標準化のねらい
  • 4. VEによる標準化の進め方と実施例
  • (手順1)標準化対象の展開
  • (手順2)重点対象の把握と効果の推定による着手順位の決定
  • (手順3)対象の機能系統図の作成
  • (手順4)標準化条件の設定
  • (手順5)代替案の作成
  • (手順6)標準の具体化
  • 5. VEによる標準化の効果
  • 6. VE活動と標準化活動の直結システム
  • 7. あとがき

発行年

1975年 VE研究論文集 Vol.6

著者

日本ビクター株式会社
ステレオ事業部 技術部開発2課
吉田弘

カテゴリー

  • VEの適用局面

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