論文
設計者の中には,VEと言う言葉を聞いただけで,拒絶反応を示す人が多くないだろうか……。古くから言われていることであるが,設計者は,非常に繊細な注意と,高度な知識をもって独創的な設計をするが,一方,非常に封建的であり,かつ,自己陶酔型が多いと言われている。すなわち,自ら設計したものは,全て最善であると過信しているが,案外コスト意識には,無頓着ではないだろうか。このため,細かなところまでは注意を払うが,一方では,コスト的に大きな見落しをしてしまうケースが多いのである。これは,設計者が,自己本位の城を築き,固定観念に固まりきったためのものと考えるが,現在のような情報化時代に,新技術,新材料が氾濫している時,自らの設計に,上手に適用し,必要な情報を取捨選択して,その時代時代の技術を吸収消化していけるであろうか,と疑問を感じざるを得ない,そればかりか,企業のコスト力を低下させる一因となっていくものと考えられる。近年発行されている,VEに関する種々文献,レポート等に目を通すと,設計あるいは企画段階でのVEとか,1'ST-LOOKのVEと言う表現が,さかんに使用されているが,その意味することは,要するに,新商品を開発するに当っては,同業他社よりも,コスト力の高い商品を,早期に,しかもタイムリーに開発するには,VE技法をフルに適用しなければ,企業競争に打勝っていけないと言うことを意味していると確信する。
目次
- 1. はじめに
- 2. 設計者とコスト意識
- 3. 設計者とバイヤーの関係について
- 4. バイヤーが購入決定する部品の適性コストとは
- 5. 設計者がコスト指値する時の留意点
- 6. 設計者がバイヤーに提出する資料
- 7. おわりに
発行年
1973年 VE研究論文集 Vol.4著者
- 日本ビクター株式会社
音響機器事業部 技術部 - 星野修一
カテゴリー
- 開発設計とVE
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