論文
機能を科学的に,あるいは,合理的に評価することは容易なことではない。価値分析の場合,この機能評価は価値評価ということであり,価値分析の最初にして最後のテーマであろう。
機能評価が意の如く行なえないのは,機能の多様性もさることながら,評価者の立場上の限界,あるいは制約があることを見逃してはならない。以下の論述は消費財について展開するが,一般的には商品の供給者(メーカーと考えよう)の立場から,機能の研究や評価がなされ,ここに需要者(ユーザーと考える)の欲求事項は満たされているとはいえない。
もともとメーカーとユーザーとは,立場を異にしており,どんな価値概念をもってしても,両者に共通するものはない。そこで,従来の価値分析は,ユーザーの立場を理解したつもりになって,メーカー的センスのもとに行なわれてきたが,これに対する反省も必要となってきている。
本稿はユーザーの立場を重視した(user oriented)機能評価のアプローチと,価値改善の方法展開を試みたものであるが,併せてesteem valueを伴った消費財の評価法や,従来ではあまり実用化されていなかった機能系統図と構造系統図との有機的関連性についても,ある新しい試みをもってアプローチしようとしたものである。
目次
- 1. はじめに
- 2. 機能評価法としてのレイティング法
- 2-1 機能評価の方法
- 2-2 各種のレイティング法と総合的レイティング法
- 3. 総合的レイティング法による機能評価の進め方
- 3-1 サインぺンの概要
- 3-2 機能評価の進め方(ステップ)
- 4. 適正価値圏の分析
- 5. ユーザーの要望による検討と価値改善
- 6. 結び
発行年
1972年 VE研究論文集 Vol.3著者
- 東京理科大学
理工学部 - 田中雅康
カテゴリー
- VEテクニック
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