論文
従来,企業の努力目標が,高生産性による生産コストの低減に向けられていたが,近来の市場の需給バランスから,商品の滞貨を招くようになった現在では,新たな企業の目標として,新しい機能を開発し,市場の再開発を計ることが,急務であります。
また一方,近来の労務費,材料費の高騰,商品の多様化からくる生産コストの吸収を,今までのように,生産性向上,合埋化による生産費の低減等の量的メリットに求めることは,次第に困難となってきました。
当社においても,VE活動の中で,今までのように既成の機能におけるVEにおいて,毎年くりかえされるこれら生産費の上昇に,すでに今までの機能のやきなおし(MODEL CHANGE)では,吸収出来ないことを痛感しております。
ここに,VEの目標を,現状おかれている企業の生み出し得る付加価値の低下に対し,これをいかにして維持するか,また一方,新たな機能を開発し,付加価値上昇を如何にして計るかの改善活動は,VErの一層重大な責務として,とりくまなければならない問題であります。
このような新しい環境を基に,VEを展開するためには,今までのような一定のパターン(企画機能or設計機能)を基に,その中で,いかにコストを引き下げるか,いいかえれば,与えられた機能に対し,いかにコストの低い手段を選択し,価値を向上させるかという"コスト・ダウン"の目的から,今後は,これら価値の追求とともに,新たな機能を開発する活動が必要であります。
そのためには,VEのあり方も,今までのVEの領域を,より上位に展開し,企業の経営段階にさかのぼり,製品の企画段階において,VEを適用する,いわゆる開発VEが必要になります。
目次
- (1) 開発VEの意義
- (2) 開発VEの低減並びに機能開発コストの設定
- (3) 開発機能の設定と改善係数の設定
- (4) 開発VEの組織・運営・位置
- (5) まとめ
発行年
1971年 VE研究論文集 Vol.2著者
- 日本コロムビア株式会社
資材部第一購買課 VE係 - 中井馨
カテゴリー
- マネジメントとVE
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