利益計画に直結したVE活動

論文

シャープ株式会社テレビ事業本部に,本格的にVEが導入されたのは,昭和39年で,購買部門に調査室を設け,購入部品を対象としたセカンド・ルックのVEが開始された。

これは,コストテーブルによる購入価格基準の管理と,その過程におけるVE提案を活動の中心としたもので,購買管理のレベルアップに大いに貢献した。

しかしながら,必然的に,購買部門のためのコストテーブルという傾向があり,また,組織的な制約からファースト・ルックのVEに脱皮しきれず,企業のコストダウンの要請に適合できなかった。

そこで,昭和42年に,新製品の原価見積りを担当していた原価計算部門と統合されて,原価管理部門として独立し,設計段階のVEへ,さらに企画段階へのVEへと発展してきた。

しかし,企業を取巻く環境は誠に厳しく,帰納的な部品単位のVEや,機種単位のVEだけでは,十分とはいえなくなってきた。

そこで現在は,原価管理部門と経理部門を密着させ,演繹的なVEによる管理会計システムを確立し,利益計画に直結したVE活動を展開している。

これによって,目まぐるしく変動する市場動向に即応し,企業の要請する利潤を確保するためのコスト・マネジメントが可能となったので,その概要について述べてみたい。

目次

  • 1. はじめに
  • 2. VEに対する企業の要請とその適用分野
  • 3. VEを中心としたコスト・マネジメント・システムの概要
  • 4. 部品別VEの実際
  • 5. 回路廻りVEの実際
  • 6. 機構廻りVEの実際
  • 7. コストテーブルの活用
  • 8. コスト・ターゲット・プログラムの実際
  • 9. 総合原価計画の実際
  • 10. むすび

発行年

1971年 VE研究論文集 Vol.2

著者

シャープ株式会社
テレビ事業本部 総務部経理課
平田章

カテゴリー

  • マネジメントとVE

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