論文
多くの企業が. VEと取り組んで,ほぼ,10年になるが,その間のVEの発展には,目覚ましいものがある。日本にVEが導入された当初は,製品の製造段階での適用を狙った購買関係の技法(PE)として展開された。しかし,今や,製品化前の設計段階,あるいは開発段階での適用がなされ,資源の有効活用のため,システムの価値追求を狙う考え方,技法として重要な地位を築きつつある。
このように,VEの体系化は,もち論のこと,その各技法としての機能的研究,また,創造性開発の技法にも,著るしい発展が見られる。
しかしながら,各技法が専門化して,高度化すればする程,相互関係の理解が乏しくなり,VEの正しい理解と効果的な適用が難しくなってくる。
その例として,企業でVEを進めて行く途上,しばしば,次のような一見,単純で,その実,非常に重要な質問に出くわすことがある。
「われわれは,何故,機能的追求をする必要があるのか?」
「創造技法は,本当に役立つのか?」
「私は,長年,設計業務に携わって来たが,何もそんな事をしなくても,設計は出来た。」
以上のような種類の質問である。しかも,この種の質問をする彼等は,一応,機能的追求の技法,また,創造性開発の技法も知っているのである。
結局,彼等はVEの正しい理解と,各技法間の関係が理解されていないため,VE適用の効果的方法を知らないのである。
以上の事柄をまとめてみると,次の二点がVEの現在の問題点としてあげられる。
1. システムの価値を追求するためのVEの考え方が理解されていない。
2. 創造性との関係においての機能的追求の重要性と有効性が理解されていない。
私は,この論文において,上記の2点に焦点を絞り考察を加え,これに関する実例を紹介し,実証づけるものである。この論文が,VEに携わっている多くの人々とVE発展のために一助となれば幸いである。
目次
- 第Ⅰ章 VEは,システムの価値を追求し向上させる
- 第Ⅱ章 機能的研究の重要性と創造性の関係について
- 第Ⅲ章 実例による実証づけ
発行年
1970年 VE研究論文集 Vol.1著者
- 日本ビクター(株)
品質管理部 標準課 - 戸田正道
カテゴリー
- VEテクニック
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