論文
新製品開発へのVEの適用というと,一般に要求仕様から展開するファースト・ルックVEが考えられるが,ここに紹介する方法は,類似機能をもつ製品から展開していく方法である。すなわち,類似機能製品の機能系統図より基本機能だけをとらえ,この基本機能を満足する二次機能,部分・部品機能をアイデアにより展開して,これを評価して新製品としての機能系統図を作成し,これを具体化して新製品を開発していこうとする方法である。したがって,この方法は,要求仕様から展開していくファースト・ルックVEに比較して,革新的な新製品開発は望めないかも知れないが,現有の製品をVE手法を用いて,着実に改善した新製品を開発することを可能にした方法といえる。
現有製品を市場の動向や要求にマッチするように改善した新製品を開発することに対する要求は,企業競争が激化の一途を辿っている今日,ますます強いものになっていくことは自明のことであり,この方法の適用が拡がっていくと考える。
この方法は,要求仕様から展開していくファースト・ルックVEと,いわゆるセカンド・ルックVEとの間に位置し,また類似機能製品の基本機能は要求仕様の一部と考えられることから,強いて名づければ,セミファースト・ルックVEと呼ぶことができる。
目次
- 1. はしがき
- 2. 基本的な考え方
- 2.1 製品構成の機能系統への展開
- 2.2 基本機能系統図の作成
- 2.3 基本機能を果たす機能の抽出と評価
- 2.4 新製品の機能系統図の作成と具体化
- 3. 実施例によるステップの解説
- 3.1 STEP1 新製品企画
- 3.2 STEP2 類似機能製品の選定と情報収集
- 3.3 STEP3 基本機能系統図の作成
- 3.4 STEP4 アイデアの抽出と技術性評価
- 3.5 STEP5 機能評価
- 3.6 STEP6 新製品の機能系統図の作成
- 3.7 STEP7 機能の具体化
- 3.8 STEP8 設計・試作と詳細評価
- 3.9 STEP9 テスト・証明と開発認定
- 3.10 STEP10 生産開始までのステップ
- 4. おわりに
発行年
1970年 VE研究論文集 Vol.1著者
- 松下電器産業(株)
回路部品事業本部 チューナ事業部技術部 - 二見良治
カテゴリー
- VEの適用局面
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