VEの戦略的攻撃事例

論文

VA手法が導入されてから,既に,10年が経過している。導入当初,部品に対する分析から始まって,製品・装置へ対象が移行して行っている。これと並行して,各ステップ毎のVA手法も研究が進み,対象の変化に応じて,展開が可能になって来た。

当社では,VA活動の企業内の定着は,経営幹部の理解と,承認が,最も,効果が大である点に着目し,VAの効果を,経営効果に反映させることを最終目標とし,工場単位の,収益改善計画としてのVA活動の投入,受注から発送迄の,各段階におけるコスト効率を高めることを目標とする。

このような,経営活動そのものに対する,VA活動の適用は,経営活動の広範囲な分野に対し,高所からの,マクロ的な視野による,問題点の摘出が必要で,それら,対象となる問題点の多様性に応じて,解決のための戦略を立案しなければならない。

従って,環境によって,極めて,特異な性格を持っている問題点に対しては,個々の具体的な手法そのものよりも,VA活動の計画,すなわち,広義の対象選定の計画立案が,より重要な課題となる。

今後,予想される材料費の上昇,人件費の高騰,労働人口の減少等,山積する問題点をかかえた企業経営は,戦略的なVA活動の投入によってのみ,健全性を確保出来ると考えられる。

本論文は,取り上げられた対象機種が「経営の川」を流れてゆく過程で,どの領域にVA的攻撃の的をしぼるかを,戦略的に決定し,実施した事例を挙げて,その効果が,経営の業績を直接向上せしめた実証を示したものである。

目次

  • Ⅰ 緒言
  • Ⅱ 企業経営とVA
  • 1. 企業経営におけるVAの役割
  • 2. 企業経営体質の変化
  • 3. VAの対象範囲の変化
  • 4. 製品の三要素
  • Ⅲ 事例A 工程短縮に対するVAの適用
  • Ⅳ 事例B 周辺コストに対するVAの適用
  • Ⅴ 事例C 品質確保のためのVAの適用
  • Ⅵ 結言

発行年

1970年 VE研究論文集 Vol.1

著者

(株)日立製作所
資材部VA推進センター
山路陽三

カテゴリー

  • マネジメントとVE

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