論文
企業の利益計画におけるVEの役割は,ますます大きくなり,その活動に投入する資源も増大の一途をたどりつつある。しかし,一時期としてとらえると,企業の人的資源には,おのずと限界があり,これを越えると,大きな混乱が生じる。また,VE活動には,企業の宿命として,できるだけ短い期間で,目的を達成し,機会損失を少なくすることが,常に要求される。これらのことから,最近では,バリュー・マネジャー及びバリュー・エンジニアに課せられた大きな課題として,VE活動の効率化および迅速化の問題が大きくクローズアップされてきた。
本論文は,製品を対象とした数多くのプロジェクトの実践活動による資料をもとに,基本機能から補助機能(または二次機能)への展開およびアイデアの発想につなぐステップをとらえ,これらステップのアプローチを容易にするために,補助機能の性質を統計的に分析,明確化すると共に,発想のしやすい機能定義用語を抽出,体系化したものである。
これによると,機能のコスト順位において,上位の5つの機能で,全体コストの84%(平均値)を占め,また全体コストの80%を占める上位コストの構成品が,これら5つの機能に,何らかの役割を持っていること,同様に,上位6つの機能で,全体コストの90%(平均値)を占めていることがわかった。また,機能そのものについては,ここで取扱った173の機能のうち,いろいろな表現形式をとっている同義語および同類語をまとめると,例えば,「電流を流す」,「絶縁を保つ」,「○○を固定する」等の機能は,それぞれ13あり,これらのものをパターン化することによって,発想のための機能定義用語の体系化が可能となった。
なお,本論文は,当社の性質から「電気製品」を中心としたものであるが,他業界の製品にも,これらの考え方は,充分,敷延することが可能であると思われる。
目次
- はじめに
- 1. 発想機能とコスト・ウェイト
- (1) 発想機能とは
- (2) 発想機能とコスト
- 2. 構成品とコスト
- 3. 機能と構成品の関係
- 4. 機能のコスト順位と構成品のコスト順位
- 5. 重点機能とコスト順位
- 6. 発想機能の機能定義用語の抽出
- 7. 主要発想機能のコスト・ウェイトとコスト順位
- 8. 発想のための機能定義用語の体系化
- むすび
発行年
1980年 VE研究論文集 Vol.11著者
- 東京芝浦電気株式会社
本社 資材部 VA推進担当課 - 小川政夫
カテゴリー
- VEテクニック
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