論文
機能思考が特徴の1つであるVE(Value Engineering、以降VE と記す)は、必要な機能を確実に達成することを目指した活動により、使用者が思いもよらないような革新的な製品や新たな実現手段を有した製品が実現可能となる方法論である。
しかし、VE ジョブプランにおける代替案作成段階の詳細評価では、代替案の設計内容が具体化されるため、プロジェクトメンバーは、品質思考(原因-結果の論理で徹底的に品質課題を解決する思考)重視となり、機能思考(目的-手段の論理でテーマに必要な機能とコストの相互分析を行うことで課題を解決する思考)が後追いの状態となってしまう傾向がある。代替案の「技術性の評価」では、必要な機能と各種の要求事項を代替案が満たす可能性を評価する活動ではあるが、要求事項の確認が主体となり、代替案の試作品による妥当性の評価が、構成要素が要求事項(仕様)を満たしているかを確認することに注力され、モノ中心の思考となり、必要な機能が確実に達成されているかを確認する意識が低くなるため、機能の検証モレによる品質対策が別途必要となることが懸念される。
本論文では、代替案作成段階(詳細評価の「技術性の評価」)において、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis、以降FMEA と記す)を活用した品質思考と機能思考を融合した技術性の評価プロセスおよびその実践体制を提案するとともに、プロセスの有効性の検証内容を報告する。
目次
- はじめに
- 詳細評価(技術性の評価)における現状課題
2.1.実施プロセスと推進体制の課題
2.2.技術性の評価の課題 - 機能思考と品質思考を融合した技術性の評価
3.1.実施プロセスと推進体制の提案
3.2.一般的な製品評価プロセス
3.3.開発設計支援型プロセスを適用した技術性の評価 - 機能思考と品質思考の融合した技術性の評価(評価項目の確認)の詳細手順
4.1.対象テーマの機能系統図の確認
4.2.代替案の構成要素の明確化
4.3.構成要素の機能の定義
4.4.上位機能の設定
4.5.構成要素の機能検証の実施
4.6.原因追求型対策(仮説設定) - まとめ
発行年
2021年 VE研究論文集 Vol.52著者
- アズビル株式会社
バルブ商品開発部
マネージャー CVS - 渡邉 清彦
カテゴリー
- VEテクニック
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