VE(Value Engineering)とは、製品やサービスの「価値」を、それが果たすべき「機能」とそのためにかける「コスト」との関係で把握し、 システム化された手順によって「価値」の向上をはかる手法です。
VEは、1947年米国GE社のL.D.マイルズ氏によって開発され、1960年頃わが国に導入されました。 当初は製造メーカーの資材部門に導入され、そのコスト低減の成果の大きさが注目されました。その後、企画、開発、設計、製造、物流、事務、サービスなどへと適用範囲が広がるとともに、あらゆる業種で活用されるようになり、顧客満足の高い、価値ある新製品の開発、既存製品の改善、業務の改善、さらに小集団活動にも導入され、企業体質の強化と収益力の増強に役立っています。
VEの必要性
経営環境がめまぐるしく変化する今日、企業経営には効率化のみならず絶えざる革新が求められています。 単に安いものをたくさん作る努力だけでは、多様化し高度化した顧客の要求を満たすことはできません。
お手本のない新たな時代に企業が生き残るためには、現状改善型の努力ではなく、現状を打破する革新が必要です。 何をすべきか、どんな働きを果たさねばならないのかを常に見直し、製品やサービスの価値を高めていくその努力を欠かすことはできません。
VEは、まさに価値向上のための技術であり、新たな時代をリードしていく企業にとって欠くことのできない管理技術といえます。
VEの考え方
VEでは、製品やサービスの果たすべき「機能」をユーザーの立場からとらえて分析し、その達成手段について様々なアイデアを出します。それらのアイデアを組み合わせたり、さらに発展させた上で評価し、最適な方法を選択します。その一連のプロセスを組織の力を結集して行い(チーム・デザイン)、顧客が求める機能を最低のライフサイクル・コストで確実に達成する手段を実現するのです。
すなわち、使用者優先、機能本位で考える。様々なアイデアを生かし現状を打破する。そのために衆知を結集したチーム・デザインを行う。 そして、機能とコストの両面から製品やサービスの価値の向上をはかっていくのがVEの考え方です。
VEの範囲
VEの適用分野は、購入資材費の低減にはじまって、製品全体のコスト低減や製品開発段階にも大きな成果をあげています。 現在は、製品ばかりではなく、組立作業や機械加工、梱包や運搬などの製造工程、さらに物流業務への適用も活発に進められています。 また、書類の作成や伝票の発行、事務手続きなど、管理業務、間接業務にも適用できます。
VE活動は製造業だけでなく、サービス業や建設業などでも導入され、会社の利益改善に効果を発揮しています。
このように、コストの発生するものすべてがVEの対象となるのです。
VEの効果
VEは、顧客に対しては、価値の高い製品やサービスで豊かさを提供できます。また、資源の有効活用により社会にも貢献できます。 企業に対しては、そのことによって適切な利益を確保すると共に、豊かなコミュニケーションと組織の活性化、 創造性あふれる企業風土づくりにも役立ちます。VE活動に参画した社員は、個を尊重した創造力の発揮とチーム・デザインによる 目標達成で自己実現ができ、目的志向の思考力が身につくことによって、仕事や生活のあらゆる場面で応用できるようになります。
このようにVEは、上手に活用・展開することによって、コスト低減効果ばかりでなく、顧客、企業、社員の三者に満足をもたらす効果があるのです。
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