コンピュータ・ソフト分野への、VA適用が盛んになるにつれ、ソフトウェア技術者からは、その手法のさらなる改善要求が、熱心に提起されるようになった。要求は多岐にわたるが、結論は、より納得性の高い手法への期待である。考え方がより合理的で、作業により困惑の生じない手法への期待といい換えることができる。
これに応えるために、ソフトウェア技術者の協力のもとにプロジェクトを編成し、研究を重ねた結果、一定の成果が得られた。
一つは、合理性という面では最大のネックとされている、機能評価の進め方に、合理的手法が開発できたこと。もう一つは、困惑回避の面から、作業の容易性の高いジョブ・プランの進め方が、開発できたことである。
内容は、あくまでも、当社手法の改善であるが、コンピュータ・ソフトVA手法の一つの考え方には違いないので、一石を投ずることにした。
なお、研究過程でのソフトウェア技術者の協力に敬意を表し、合理性と容易性をまとめて、実務性という用語を使うこととする。
本論文はコンピュータシステムを稼働させるアプリケーションソフトウェアを開発,生産する企業において,効果的なソフトウェア活動を展開するために「コストトランスファ技法」をKEYにして,マーケティングVE,開発VEを遂行する戦略的ソフトウェアVEの実用法について述べる。
ソフトウェアの製品を定義化し,その特徴をとらえ,業種業態に合わせたソフトウェアVEジョブプランを掲げ,高度なソフトウェア技術者不足が深刻さを増す本業界において,ソフトウェアVE活動が,顧客のみならず企業が継続して社会に貢献するための,経営活性化策であることを強く提唱するものである。
近年,鉄道会社の駅務合理化に対応して,駅務自動化機器の普及が進んでいる一方,客先ニーズに応えるべく多様化,高度化,コンパクト化された製品とするために,製品へのマイクロプロセッサ搭載が増加した。これにともない,ソフトウェアの開発量の増大,ソフトウェア技術者の人員不足が生じ,ソフトウェアの生産性の向上および開発費の低価格化が重要な課題となっている。
今回,定期券発行機の新型機を開発するにあたり,ソフトウェア開発費の低価格化の問題に取り組んだ。本論文は,大きな成果が得られた新型定期券発行機ソフトウェアVAに対して導入した,パラメー夕方式によるVA手法について紹介する。
近年,コンピュータの著しい普及と高度な利用によって,そのソフトウェア開発量は年々増大し,かつ,その処理も複雑化してきている。
一般的にソフトウェアのライフサイクルコストの多くは,後戻り作業で,これは不完全なコーディングに起因しているものや,処理仕様書の品質バラツキと不良によるものが,ほとんどであるといっても過言ではない。
本開発技法は,これらの点に焦点を当てたものである。すなわち,処理仕様書が作られる要素である顧客要求の機能及び条件・制約などをまとめた「計画設計書」を分析し,従来,個人・個人の頭の中にある知識から,経験から,感情から等で作業していた不特定要素を除去してやることからはじまる。よって,本開発技法は,まず,IPO機能展開法(IPO:Input-Processing-Output)を作成して,ソフトウェアの機能を明確にし,このIPO技法により,最終的にビジュアル化された機能展開図及び機能系統図をベースにして作成される各種ドキュメントの工数及び技術レベルの評価・分析を実施できるようにして,実際作業の高効率化をはかろうとするものである。
IPO機能展開法,及びIPO技法による実際業務の評価分析法の2点について,その概要を説明する。
当工場の製品分野は,電力,一般産業,公益および交通等,幅広い市場を有しているが,いずれもユーザーのニーズは,時代を先取りした合理化,省エネルギー化を指向したシステム製品が主体である。
このため,プロコン・システムの高度化,マイコン応用製品の増大化傾向は,顕著なものがあり,年々これらソフトウェアの比重は高まる一方で,この分野へのVA技法の導入と,VErの養成は大きな課題となっていた。
従って,プロコンおよびマイコンに関するソフトウェア(以下ソフトと呼ぶ)のそれぞれの専門家の参画を得て,ソフト部門が共通に利用できるようなソフトVA技法の開発を進めた。その結果,今まで未開拓ともいえるソフトの分野に対し,VA技法の導入を行ったので,その内容について,次に要点を紹介する。