論文カテゴリー: VE教育 16件

従来の2日間のVE基礎研修は座学と演習から成る。受講者がVEを学ぶことで、担当業務に活用する意欲が湧く。 さらに、VEリーダーの資格を取得することにより、知識とモチベーションが向上し、活用への使命感も生まれる。 しかし、2日間の講座を受講しVEリーダーの資格を取得しても、自分でVEを活用できないという声が多い ことが 課題であった。
そこで、受講者がVEを活用するための研修に望む施策を検討し、2日間の講座とVEリーダーの資格取得に加え、受講者が計画を立ててVEを実践活用することまで組み込んだ、VE基礎研修のしくみを構築した。その結果、本研修を受講した者はVEを活用するコツをつかむことができた。また、本研修におけるVEの実践活用から、収益面に対するVE成果を出した事例も散見された。

本研究では第50回VE全国大会(平成29年開催)で提案した10の対極発明原理を改良し、TRIZを活用した対極類比アプローチによる創造手法の適用範囲を、技術的課題の解決から社会的課題の解決に拡大した。改良した創造手法を製造企業における人材教育の企画立案に適用し、より価値の高い教育プログラムのアイデアを得た。
そのアイデアは、従来、VEを学ぶ機会のなかった技能系新入社員がIE、QC、VEの三つの管理技術の基礎を学ぶというものである。この革新的なアイデアを具体化するために、これまで別科目であったIE、QC、VEの入門教育を一つに統合した教育プログラムを創設し、企業内の教育施策に導入した。

コスト最適な設計を行うためには、ものづくりとコストに精通した技術者が必要である 。しかし、自動車部品業界においては、近年の開発期間の短縮や、電動化 、衝突回避システムなどの先進安全装備の装着拡大に伴って 、機電一体製品(注1)が増えてきたことにより、技術者に求められるコスト最適設計力が変わってきた。 そこで本論文では、この問題を解決するため、次の3点について述べる。第一は、現在の環境変化に合わせた技術者のコスト最適設計力を得る育成方法の開発である。具体的には、コスト最適設計力を構成する能力要素を顕在化し、その能力を得るための育成カリキュラムを開発する。第二は、顕在化した能力の能力到達度指標の開発である。能力到達度を定義することで、技術者のコスト最適設計力を得る育成の促進を図る。第三は、この育成カリキュラムを自動車部品業界の技術者に適用して、その有効性を述べる。

本論文は、永遠の課題である健康問題に対して機能系統図を活用することでより理解を深め、各人の健康意識の向上に貢献することを通じて、機能系統図を活用することが未知の分野の知識の全体構造をより短期間でもれなく把握する方法論として有効であることを示すものである。

VEリーダー(VEL)の資格を取得したものの、実務に活用できていない者が少なく

ない。そこで、本論文はVELの実践能力を向上するため、成人教育理論を活用した全員参画型のフォローアップ教育プログラムの構築方法を提案するものである。

成人教育理論では、成人を「社会生活を営む上で生じる課題・問題に対処するため学習する存在」と捉え、子どもの学習とは異なるアプローチでより効果的な学習支援ができると考える。

こ の理論を活用してVELの実践能力を向上するための教育プログラム構築手順を考案し、例として機能系統図作成の応用手法に関するフォローアップ教育プログ ラムを実施した。他の教育形態との比較、受講後のレポート・アンケートの結果、実務へのVE適用状況から教育効果を評価し、VELの実践能力を向上する教 育プログラムが構築できたことを確認した。

第40回VE全国大会(2007年開催)において、「VE実践力向上のための人材育成プログラム」と題したVE研究論文を発表した。この中で、VE実践力の向上を図る方法として、実課題の解決を通じた人材育成プログラムを紹介した。この育成プログラムの基本的なカリキュラムや適用事例は既に示したとおりであるが、その課題解決力・VE実践力育成の主要な要素は次の4つであると考えられる。①必要な知識の習得、②習得した知識を基に考えさせる、③VE活動の実施、④VE活動における問題点の指摘。

本論文では、これら4つの要素について、育成対象者のVE活動を実施する実践力や対象とする課題に合わせて、どのように指導すべきかなど、より具体的な対処方法に踏み込んで考察を加えると共に、実施結果からの知見も紹介する。

本人材育成プログラムの考え方を適用して、部長クラスのプロジェクト・リーダーをVE活動の効率的な進め方(プロセス)を設定でき、部下への効率的なVE活動の進め方の指導のできる人材を育成することで、部門全体のVE実践力の向上に繋がっている。

VE活動において抜本的なアイデアを得るためには、VEを専門的に実施する専門家よりも、実務を一定期間経験し業務に精通した者がVEを正しく理解し活用した方が効果的である。弊社でも、各部門がVE活動を自立的に実施できるVE活動の成熟期に向けて、VE教育を行うとともに、VE活動の指導や自立に向けた働きかけを継続しているが、自ら自立的に適切なVE活動を実施できる人材が増えていない。

そこで、本論文ではVE活動を自らの実践力で自立的に実施できる人材を育成するプログラムを提案するものである。これにより、VEの技術を駆使して課題を解決し企業の利益創出に貢献できる人材を育成し、その人が次の世代を育成して自立させることで、企業体質を改善することが狙いである。

本育成プログラムの適用により育成対象者のVE活動の実践力は着実に向上しており、期待される効果は得られたものと考える。

本論文では、筆者が公共機関における設計VEチームリーダーとして直接関与したVEワークショップでの活動実績を踏まえ、公共VE成果をあげるためにチームリーダーが果すべき役割と課題を明らかにし、今後のリーダー育成についての方法を提起するものである。その背景事情には、政府、地方自治体では財政面での逼迫を受けて、公共事業のコスト縮減施策や価値向上対策の一環としてVEへの取り組みが活発な動きをみせているからである。公共VEは事業予算の有効活用と納税者、利用者に満足感を与える画期的な手法であるが、個別プロジェクトでVE成果を生み出すにはキーマンとなるチームリーダーの存在が鍵を握る。

土木事業への導入はまだ模索の時期と言っても過言ではないと思われる。VE導入の基本であるVE教育は課題が残ったまま推進している状態になっていると考えられる。

土木事業の構図は他業界より複雑であり、事業内容も不明確な点が多く潜んでいることは否めない事実である。これらの特徴を汲み上げながら土木事業にVEを植えつけるには事業にマッチしたVE教育が求められていると思われる。

本論文は土木分野のVE教育について事業者教育を中心に言及し、過去7年間にVE教育を受けた土木事業関係者の反応を分析する。さらに土木分野の各階層のVEに対する認識をもとに土木事業におけるVE教育について考察する。

VEリーダー(VEL)の資格を取得しVEに関する基本的な考え方や進め方は理解しているものの、これを実務に活用できない者が少なくない。そこで本論文は、VELの実践能力不足を解決あるいは補助するため、コンピテンシーモデル(Competency Model)を作成しこれを活用する方法を提案するものである。

コンピテンシーは、高業績を上げている人達にみられる共通の行動特性や思考特性のことである。それはその人が保有している知的能力だけではなく、それに加えて具体的な行動として現れた能力のことである。

このコンピテンシーを、高業績者のノウハウ的な行動特性としてモデル化し、その活用による人材能力の向上(仕事のできる人をつくる)と企業の発展(業績を向上させる)を目的に欧米で導入が広まっている。わが国でも人材マネジメント全般へ人材能力向上に活用する研究が始められている。本論文は、この方法を応用してVELの実践能力の向上を図るものである。