論文キーワード: 評価構造の顕在化 1件

本研究では、VE活動メンバーの保有する評価能力を効果的に発揮できる代替案評価法(特に構想設計案レベル想定)について提案するものである。従来の代替案評価では、スコアリングモデル(特に5点評価法)の活用やメンバ一間の相談に基づく評価が多いようであるが、今回提案する代替案評価法は、最近VEでも注目されているAHP(Analytic Hierarchy Process)を改良した「記述型AHPモデル」になっている。

記述型AHPモデルとは、現実の人間の意思決定に近づけて、意思決定者自身の納得性を高めようとする「記述型モデル」を前提にしたAHPによる評価法のことである。この手法は、とくに少数ではあるが複数ある代替案の中から最適案を選択する際に、評価に至る構造の顕在化とその評価結果の修正によって、評価者自身の評価に対する納得性の向上を目指している点が最大の特徴である。なお、本論文では、一つの適用事例に基づいて提案手法の有効性について論じるつもりである。