論文キーワード: 技術進化のパターン 2件

新製品開発の成功の要は製品企画段階にあると言えるが、真に顧客満足の高い製品を実現するには単純に顧客要求を把握するだけでは不十分であり、製品化技術の今後の発展を長期的な視野で見抜く力も問われる時代になっている。そこで、本論文では、最近注目されているTRIZの技術進化のパターン等を活用して、次世代製品の近未来の姿を社会の変遷と技術の発展という観点から予測し、その予測結果を企画VEに反映させるアプローチを提案するものである。予測結果のアウトプットは、純粋に対象製品の近未来を描写したシナリオ(文章形式)を想定しており、このシナリオが製品化コンテンツのコアとして企画書に反映されることになる。なお最近、筆者はこのような革新的なシナリオライティングメソッドに対して『FUN Method(ファン・メソッド)(Future Navigation Method』と命名した。本論文では、本メソッドの中で活用する主な技術進化の未来予測テクニックを小事例に基づいて紹介するつもりである。

製品開発活動は企業経営の要であり、常に顧客満足の高い製品をタイミングよく市場に提供していかなければならない。そのためには特に価値向上が望める製品企画案を立案する合理的アプローチが必要になってくる。そこで本論文ではマーケティング的思考が比較的強い従来の企画・開発VEに対して、最近注目されている「TRIZ(トゥリーズと呼称:旧ソ連で誕生した過去の特許データ分析から帰納的に導いた創造原理等をベースにした一連の革新的問題解決の方法論)」を活用した「新タイプの企画・開発VE」を提案することにする。

なお、本論文で提案する企画・開発VEの最大の特徴は、次世代製品の企画シナリオをTRIZの1手法である「技術進化のパターン(技術システムに関する複数の進化パターンで構成)」を活用して作成する点にある。さらに製品コンセプトを検討する創造段階においても、従来のBS法)ブレイン・ストーミング法)に加えて「コンテンポラリーTRIZ(TRIZソフトウエア)」を活用し、創造プロセスの合理化を目指している点も大きな特徴である。