論文キーワード: 顧客価値 2件

油圧ショベルやホイールローダ等汎用的な建設機械の多くは、顧客用途や使用環境への適合を考慮し、同じ機能の製品を複数のクラスに分けシリーズ化して販売している。成熟されたこれら市場では、各クラスにおいて非常に厳しい競合が繰り返され、同時に顧客も厳しい眼で製品価値の評価を行い、購入機の選定を行っている。

本論文では、建設機械の中心的位置づけにある油圧ショベルを取り上げ、顧客価値評価に基づいた適正な価格評価を行うことを目的に、価格の分析とその評価方法の検討を行った。同時に、検討内容に関し、モデルチェンジにおける価格設定への反映を試みた。

顧客価値とは、消費者である我々自身が、商品やサービスを手にし、使用する時感じる満足感であり、身近なものである。しかしながら、一つひとつの商品やサービスにおいて、送り手側から、顧客の価値感の全体像を描き出そうとすることは、常に困難を伴うものである。

なぜならば、顧客価値とは顧客が感じるものであり、顧客の立場に立って見た使用場面への理解というものが欠かせない。また同時に、顧客のその満足感を顧客が感じ取れるように、どう実現するのか、送り手の創造性も同時に求められているからである。

本論では、商品の企画段階では必ず志向されるであろう顧客の価値感の全体像を、VEにおける機能分析手法の中に、一定の枠組みを設けて描きだせるようにした。顧客価値に迫りやすくすることで、機能分析の活用に、より多くの送り手の参加を願うものである。