論文キーワード: 開発VE 2件

企業には顧客に新たな感動を与える価値の創造が求められている。そのためには既に明 らかな顧客の顕在的要求に加えて、潜在的な要求を見いだし、新たな価値をもたらす製品 やサービスの基本着想を創造する必要がある。本論文では、企画段階のVEプロセスで顧 客の潜在的要求に応える基本着想の創造手法を提案し、その有効性を検証した。 提案する創造手法は開発する対象と概念的に対極のものを発想し、対極のものとその特 性を手がかりに新たな着眼点を得て、顧客の潜在的要求に応える基本着想を創造するもの である。リサイクル工場の環境改善技術の開発に本創造手法を活用し、顧客の潜在的要求 に応える基本着想を得て、顧客の期待を超えるコンセプトの工場を構築することができた。

日本における価値工学は、昭和30年代、40年代の「部品VE」「製品VE」に始まり、現在では「マーケティングVE」「マネジメントVE」など、調達、加工といった段階から発展・発達し、効果の高い上流段階へのVE適用へと歩んできた。

公共事業におけるVEも、その他業種同様に、上流段階であればあるほど効果が高いと考えられるが、実績の多くは下流段階に限られている。

より効果的に設計VEを定着させるためには、発注者との「認識の関」「文化の関」「感情の関」を取り除く努力が必要である。

本論文では、道路整備の中でも上流段階である道路概略設計を例において検証し、①発注者が持つ設計VEに対する誤解②設計VEシステム上の課題③評価手法の課題の3つの問題点を明らかにした上で、「設計VEシステム導入ガイドライン」「価値を基準とした地域間を越えた評価比較手法」等の提案を行った。