論文キーワード: 問題の形態 1件

『VEハンドブック』の7.3.1(P.355)(注)で紹介されているとおり、サービス領域での管理・間接業務や、2時間VEなどの短時間VEでは、現状の問題から機能を定義し、アイデア発想を行う手法が広く利用されている。

現状の問題は、改善活動を行う上で大きな動機の一つとなるため、この方法はチームメンバーの参画意欲の維持や向上という点等においてすぐれた手法である。

しかし、従来からの「問題点反転法」や、不具合を原因と結果で表現した「問題点系統図」を利用したVE活動において、VE本来の実質的な機能定義が行われない状況が少なからず生じている。

本論では、問題から機能を定義する場合に、従来からの利点を残したまま、VE本来の実質的な機能定義を行う方法を考案することを目的とした。

まず、VEの対象となる製品やサービスの問題とは何かを定義し、問題をいくつかの形態に分類した。そのうえで、問題の形態ごとに機能の定義の方法を提示した。

次に、従来からのVE実施手順に沿って、問題から機能を定義する場合の手順を提示し、最後に例題形式で機能の定義、機能の整理の方法を通して提示した。

全体を通して、VEの定義やVE実施手順と慎重に照らし合わせながら、本論で解説した、問題からの機能定義の方法が、VEとしての要件を満たすことを証明することに注力している。