設計VEの効果的な適用方法と公共事業への展開方法
公共事業に設計VEを適用する事例が、ここ数年増えてきた。しかし、製品やサービスのように、大きな改善効果が得られないケースがあるのはなぜなのだろうか。事例を重ねることによって、公共事業の特質と設計プロセスのマイナス要因が、重要な鍵となっていることが判ってきた。
そこで、本論文は、公共事業に設計VEを適用するために必要となる公共事業の特質と、大きな改善効果を出すための設計VEの適用方法と、さらに、将来の公共事業へのVEの新しい活用展開を提案するものである。
公共事業の事業者は、社会資本整備を進めなければならないという社会的責任と、景気低迷や少子高齢化がもたらす税収不足による財政難とにより、新たな問題解決の方法を求めている。VEが、公共事業の価値向上を実現し、より良い社会資本の構築のために、活用される時期に来ている。
この論文は、筆者のこれまでの体験をもとに、公共事業におけるVEのメリットを最大限に引き出すことを狙い、VEの新たな展開と発展を図るものである。