著者のことばより
バブル崩壊後の現在の日本の産業界において、各企業は、あらゆる面で革新をはかっていかなくてはならない。高度成長の時代からバブルの時代に続く過程で培われたマネジメントの考え方、企業組織のあり方、企業の生産する製品やサービスのあり方等、あらゆる面において従来の考え方を否定し、新たな時代に合ったマネジメントや組織、製品やサービス等に変革していかなくてはならない。
そうした時代の要請に応えてくれるのが、VEの考え方であり、VEの手法にほかならない。つまり、VEの基本的な考え方や手法が改めて必要な時代になってきているのである。
これが、本書をまとめるに至った第一の理由である。
本書の書名を『バリュー・エンジニアリング入門』としながらも、その内容や事例は家電メーカーのような組立産業を前提にしている。そうしたのは、家電メーカーのような組立産業の内容や事例が、広くVEを理解するのに最適だと考えたからである。したがって、他の業種や業界にかかわられている読者は、本書の内容を自分なりに応用して、理解してほしい。