論文発行年度: 2011年 VE研究論文集 Vol.42

多くの企業において、VE活動を通してコスト削減の実績を上げている一方で、既存のVEの手法だけではコスト削減に限界を感じている場合も多い。そこで、さらなるコスト削減を実現するため、VEとTRIZを組み合わせた新たなコスト削減手法を提案する。
本研究では、コスト削減活動の過程で度々遭遇する二律背反的な技術的問題の解決手段として、TRIZにおける技術的矛盾解決方法に着目し、新たに「コスト削減のための技術的矛盾マトリックス」を提案した。そして、その有効性をロータリー式電気シェーバーにおけるコスト削減事例により確認した。

最近のグローバル環境の変化により、日本の大手企業はもとよりその国内の取引先の企業も苦しいビジネス環境におかれている。円高が進行する環境で、安価で急速に品質を向上させている海外の部品供給メーカに打ち勝つためには、自社の製品の価値向上を継続して図ることが必要である。筆者は、国内に取引先を持つ企業が、自社の製品の価値向上を図り競争力を向上させるためには、その企業と取引先の両者が協働型である共同VE活動を実施して共に利益を享受しながら、取引先の企業の技術が成長することがあるべき姿であると考えてきた。
しかし、共同VEは、両者にとってハイリターンである一方、技術流出というハイリスクの面をもつために情報を共有化して実行することが難しい。この論文では、このハイリスクの面を低減するための計画段階のプレVE活動の手順について提案するものである。なお、実際に提案した手順のプレVEを実施し、共同VEを実施したその効果を説明し、最後に今後の取引先との共同VEの適用分野について述べる。

これまで、公共事業VEで一般的に使われた機能分析法は、製品VEと同様に事業単独の構成要素だけを対象としたものであった。
しかし、公共事業の機能は自己完結型で成立するものではない。それが整備される場所や地域社会との相関関係の中で果すべき機能が定義される必要がある。これからの公共事業に必要な機能は、地域社会という大きなシステムとの相関関係で定義される必要がある。
したがって、機能を定義することは、複数のシステム間に相互に働く影響力を評価することである。その場合、公共事業の構成も複数の手段機能によって構築されたシステムと考える。
また、機能の相互作用によって「有益な働き」と「有害な働き」が発生する。この二つの働きを探索することにより、従来の機能の定義では把握できなかった問題点が発見できる。そして、「有益な働き」はさらに拡大し、「有害な働き」はできる限り減少させることが、使用者の満足度向上につながる。
さらに、複数のシステム間に相互に働く「影響力」は常に一定に作用するものではなく、時間の経過や利用状態の変動に伴って変化するものである。社会資本が長期間に亘って機能するためには、変化に対応して柔軟に対応できる仕組みが必要である。

高速道路は都市内道路網全体の交通処理能力を向上させ、お客様に安全・円滑・快適に利用していただくため、様々な管制用機器と運用ソフトウェアで体系的・効率的に構成された「交通管制システム」により道路の管理・運用支援を行っている。このシステムでは、システムの多様化・高度化に伴うリスク回避策として“バックアップシステム(以下・BUS)”が検討されている。ICT技術の急速な進展は、これまでの経験則では全く想定できない様々なリスクの脅威が存在することを認識しつつも、その全容と詳細および対処法が全く把握できていないのが現状である。そこで本論文では、未来志向的なリスク管理手法である、「逆転発想思考アプローチによる創造的リスク対策」手法を、高速道路管制システムのBUS計画案に対して導入し分析・検証を行った。その結果、実効性のあるリスク評価結果が得られ計画案の見直しを行うに至り、基本的にあらゆる製品・サービスのリスク対策手法としての有効性が示唆された。

新たに価値ある製品やサービスを考えだすための標準的VEWSSでは、改善想定金額の比較的大きなVE対象テーマであれば、機能的研究法であるVE実施手順を着実に実践することで価値向上やコストダウンの成果をあげ、投資倍率を10倍以上とすることも可能となる。しかし、改善想定金額の小さなVE対象テーマにおいて同様のステップで実施すると、得られる成果に対する投資倍率は低くなり、標準的VEWSS参加者のモチベーション低下になることが多々みられる。また、近年においてはスピードを要求される時代の流れと、生産性を高める視点から、少ない人員で他の管理技法も同時に実施する必要があり、小さなVE対象テーマにおいては、標準的VEWSSの考え方を遵守しながら必要最小限の手順と短時間で簡単にできる方法が求められている。現在、有効な成果が得られる短時間VE手法としては「3時間VE」「WAVE法」などがあるが、それぞれ一長一短がある。本論文では実証活動による有効性の検証をもとに、簡易型VE手法である2時間VEが広がりつつある現状を分析し、この手法が日本における簡易型VE手法の一つの型となり、より使いやすく長い間使用者に使用してもらえるようにするためにはどうすべきか述べるものである。

日本の経済成長の背景には、製造業の発展が大きく関係している。その発展にVEの存在は欠かせないものである。戦後復興に大きな役割を果してきたとも言える。一方で、製造業以外の一般企業では、VEの考え方を企業経営に導入して発展をしている企業はあまり多くない。むしろほとんど見当らないのが残念である。

VEの最大の特徴は、機能的研究法、すなわちファンクショナル・アプローチにある。その考え方は、企業経営を助ける優れた考え方である。多くの企業が行っている現行の経営に直ぐに導入できる程、汎用性が高いものである。例として、SWOT分析、3C分析、4P理論、ブルーオーシャン戦略、パーキンソンの法則、ピーターの法則を挙げる。

そして、企業経営に必要な4つ(経営、営業、管理、改善)のシステムを提案し、そのそれぞれにファンクショナル・アプローチを組み込んでいくことで、これからの時代を生き残る企業としての経営上の示唆を与える。

最近の円高の進行、新興国の台頭により日本の製造業は、加工付加価値型の製品(高度な加工によって価値が高められている製品)を安く製造することが必要になってきている。加工付加価値型の製品における製造改善のVEでは、発想された加工条件変更のアイデアに基づきその組合せの技術性と経済性を詳細評価する段階において、加工条件変更のアイデアが多くなればなるほど、提案されたアイデアの条件すべての組合せにおける技術性と経済性を短時間で評価することが難しくなる。

そこで、製造改善のVEにおける詳細評価段階において、提案された多くのアイデアの組合せの効果をできるだけ確実にかつ短期間で評価する手法を適用することが必要となってきている。

そこで筆者は本論文にて、多くの条件(因子)の組合せを最小の実験回数による検証で定量的に評価できるタグチメソッド(Taguchi Method)を詳細評価段階で適用する方法を提案する。

本論文では、過去に実践した製造VEで提案されたアイデアのうち条件(因子)が多いものについてタグチメソッドを適用し、従来は数週間の試験によって求められる最適な組合せを6時間の試験で求めることができた事例を紹介し、タグチメソッドを織り込んだ詳細評価段階のあるべき姿を提案する。

「機能の定義」では、適切に機能表現を行うことで、「アイデア発想」においてより思考を広げ抜本的な発想ができると言われている。本論文では、機能定義用語のうち動詞に対してアイデアの出しやすさを示す指標(定量値)を計算言語学の応用によって求め、「機能の定義」に不慣れであってもアイデアの出しやすい動詞選択を可能とする方法論を検討する。動詞が「思考を広げる」のは、①その動詞が様々な場面で用いられるからである。②コーパス注)の用例数が多いものが動詞の使用場面数を数量化したものである。①、②から「コーパス用例数が多い動詞がアイデアの出しやすい動詞」であると仮説を立てた。これを検証する調査を行ったところ、動詞のコーパス用例数とその動詞から得たアイデア数には相関が見られなかった。しかし、その一方で、アイデアを出しやすいと感じる動詞の順位を質問したアンケートでは、動詞間でその印象に有意差が見られ、「機能の定義」で用いる動詞選択が「アイデア発想」で得られるアイデア数に一定の影響を及ぼす可能性があることを示唆する結果が得られた。今後は、「今回の実証実験&アンケートの結果」を総合的に吟味し、機能の定義の機能表現とアイデア数向上の関連性をより客観的に分析し、アイデア発想に役立つ科学的な動詞選択ツールの開発研究を継続するつもりである。

近年、公共事業や輸送サービス事業、建設業、自動車産業、電機産業など、ありとあらゆる事業、分野でVEが盛んである。特にここ数年における産業別のVEリーダー取得比率は電機産業を含む製造業が50%以上を占めておりVE活動の活性化がうかがえる。

 電機産業を含む製造業でのVE導入時期は、主として比較的実施し易い機構部品をVE対象テーマに選定してVE活動の実践と定着化を進めている。

しかしながら、VE活動がある程度定着化し、拡大、活性化を進めていく上では、製品やシステム全体をVE対象テーマに選定し、特に電子回路へのVE適用は必須である。

 そこで、本論文では、機能に着目したテアダウン手法の電子回路VEへの適用例を示し、有効性を明らかにするものである。