輸送サービス業(鉄道業)におけるVEの考え方とVEの展開
鉄道はさまざまな要素技術から構成される労働集約産業であり、相互に綿密に関連し合う要素技術を分解すると、さまざまな業態の集合体といえる。これらの各分野に「いかにVEを適用するか」「どのように活性化するか」について検討・実践してきた結果、鉄道業に適したVEを展開し、成果も毎年創出するに至った。
そこで、VE展開方法を他業種(製造業など)と比較検討し、輸送サービス業におけるVEの考え方とVE展開の特徴を述べる。
鉄道はさまざまな要素技術から構成される労働集約産業であり、相互に綿密に関連し合う要素技術を分解すると、さまざまな業態の集合体といえる。これらの各分野に「いかにVEを適用するか」「どのように活性化するか」について検討・実践してきた結果、鉄道業に適したVEを展開し、成果も毎年創出するに至った。
そこで、VE展開方法を他業種(製造業など)と比較検討し、輸送サービス業におけるVEの考え方とVE展開の特徴を述べる。
本論文は、企画VEを一層充実させる方法を商品企画プロセスの先行研究と、アンケート調査結果の考察を通して論ずるものである。
商品企画に関する先行研究からは、商品企画プロセスとは不確実・多義性・複雑性に富んだ情報処理作業であり、この不確実・多義性・複雑性への対応が商品企画プロセスの高度化の1つの方向性であるとの結論を得た。
また、アンケートによる商品企画の実態調査結果から、優れた商品企画プロセスでは、商品ロードマップが活用されていることが明らかになり、商品企画プロセスにおける情報処理の1つの方法として商品ロードマップの活用という方向が得られた。
そこで、本論では、企画VEを充実させるための1つの方法として、商品ロードマップの活用を通じた企画VEの方法についての提案を行う。
日本における価値工学は、昭和30年代、40年代の「部品VE」「製品VE」に始まり、現在では「マーケティングVE」「マネジメントVE」など、調達、加工といった段階から発展・発達し、効果の高い上流段階へのVE適用へと歩んできた。
公共事業におけるVEも、その他業種同様に、上流段階であればあるほど効果が高いと考えられるが、実績の多くは下流段階に限られている。
より効果的に設計VEを定着させるためには、発注者との「認識の関」「文化の関」「感情の関」を取り除く努力が必要である。
本論文では、道路整備の中でも上流段階である道路概略設計を例において検証し、①発注者が持つ設計VEに対する誤解②設計VEシステム上の課題③評価手法の課題の3つの問題点を明らかにした上で、「設計VEシステム導入ガイドライン」「価値を基準とした地域間を越えた評価比較手法」等の提案を行った。
昨今の製造業においては、競争環境の激化が進展し、自社内の保有資源だけでは競合他社との差別化を生み出すことが困難であり、コアの資源以外については如何に外部資源を獲得・活用するか、が企業価値を革新するための重要なファクターになっている。
本論文では、製造業の企業が企業価値を向上させるための経営課題として新規事業開発や新商品開発を検討する際に、技術のもつ「機能」と「条件」に着目して、機能的な観点を応用活用することにより、自社のコア技術(自社優位性の源泉となる中核技術)を明確化し、新規事業・新商品開発のために必要な技術開発の方向性を設定する方法論について述べる。また、新規開発のために必要であるが、自社コア技術と領域が離れている技術、または自社開発が困難な技術について、如何に協業候補先の保有技術を分析し、自社の開発とのシナジーを創出し得る技術獲得を実現させるか、について、ここでも機能的な観点を応用しながら検討していくステップについて事例を織り交ぜながら、その有効性を示していくものである。
土木事業の設計VEは、事業全体の価値向上に対して有効であることは筆者が過去10年間の研究および実務を通じて徐々に証明してきた。しかし、事業は単品生産で分野も様々であるため、全面的に適用するにはかなりのハードルを越えなければならないと思われる。
本論文は土木事業の要である発注者が行うインハウス設計VEについてのマネジメント方法を実施例と交えながらコントロールポイントを論ずるものである。
第37回VE全国大会(平成16年開催)において、「納得と創造を引き出すVEファシリテーションの技術」と題したVE研究論文を発表した。この中で、VEチームリーダーを育成するステップは納得と創造の連鎖であり、それぞれに特徴のある手法として、会話例とともにVEファシリテーションの技術を紹介した。
本論文では、メンバーに対する「質問」を中心にその効果的な活用方法を整理し、理論的な背景に踏み込んだ考察を試みた。その結果、以下の理解に立った効果的な質問を行うことで、チームの生産性に大きな影響を与えることを認識するに至った。
●質問には、VE活動の局面に応じて、その問いかけ方や表現方法に特徴がある。
●目的達成に必要な論点に議論が集中するよう、質問を構築することが重要である。
●いかに効果的な質問を作り出すかが、VEファシリテーションの要である。
油圧ショベルやホイールローダ等汎用的な建設機械の多くは、顧客用途や使用環境への適合を考慮し、同じ機能の製品を複数のクラスに分けシリーズ化して販売している。成熟されたこれら市場では、各クラスにおいて非常に厳しい競合が繰り返され、同時に顧客も厳しい眼で製品価値の評価を行い、購入機の選定を行っている。
本論文では、建設機械の中心的位置づけにある油圧ショベルを取り上げ、顧客価値評価に基づいた適正な価格評価を行うことを目的に、価格の分析とその評価方法の検討を行った。同時に、検討内容に関し、モデルチェンジにおける価格設定への反映を試みた。
本研究では、VE活動メンバーの保有する評価能力を効果的に発揮できる代替案評価法(特に構想設計案レベル想定)について提案するものである。従来の代替案評価では、スコアリングモデル(特に5点評価法)の活用やメンバ一間の相談に基づく評価が多いようであるが、今回提案する代替案評価法は、最近VEでも注目されているAHP(Analytic Hierarchy Process)を改良した「記述型AHPモデル」になっている。
記述型AHPモデルとは、現実の人間の意思決定に近づけて、意思決定者自身の納得性を高めようとする「記述型モデル」を前提にしたAHPによる評価法のことである。この手法は、とくに少数ではあるが複数ある代替案の中から最適案を選択する際に、評価に至る構造の顕在化とその評価結果の修正によって、評価者自身の評価に対する納得性の向上を目指している点が最大の特徴である。なお、本論文では、一つの適用事例に基づいて提案手法の有効性について論じるつもりである。
公共事業は、利用者や事業工程など、一般の製品やサービスと異なる視点が存在している。公共事業へのVE適用が急増する近時において、その視点に沿った新しい価値の評価方法が必要となってきた。
そこで、新しい視点の整理をすると同時に、新しい評価方法を導くことを試みた。まず、公共事業を評価する上で必要な要素を、機能、コスト、時間、手間の4つを抽出した。そして提案する評価式は、これまでの機能とコストの2つの要素で表現されていた式から、機能、コスト、時間、手間の4つの要素で表現する式を導き出した。
この新しい式は、これからの公共事業の価値をより正確に評価するために活用できるものであると同時に、製品やサービスにも転用できるものと考える。
建築工事におけるVE検討は、設計・見積・調達・施工の各段階において、受注拡大や利益確保のために実施されている。施工段階においては、施工方法を改善する施工VEを積極的に行うべきであるが、施工VE提案数は多くない。これは建築工事に適合する効率的な施工VE手法が確立されていないためと考えられる。また、設計仕様変更によるVE検討は広く行われているが、この手法だけではコスト低減は限界に近づき、コスト低減に有効な施工VEの手法が求められている。
ここでは建築現場の生産性向上を目指した施工VEの適用ノウハウを提案する。製造業を参考にして、共同VE、現場観測、機能系統図の効率的作成方法などを適用した。この手法を実際のプロジェクトに適用し、十分な成果を確認したので紹介する。