現在、十分な製品戦略、マーケテイング戦略下の合目的な製品コンセプトづくりなくして"ヒット製品"をうみだすことは困難である。そこで、本研究は製品コンセプトを「消費者サイドからみたNeeds(潜在欲求)を探求し、メーカーがこれらに応えるBenefit(機能・便益)を決定し、それに経営方針を加味して、製品に託した企業メッセージである」と考え、既存市場に既存技術及び改良技術で参入する新製品のコンセプトづくりを実用機能面から支援する新しい方法を提案するものである。その特徴は実用機能を機構・構造上の機能と使用・便宜上の機能に分類し、それぞれについて潜在欲求を明らかにし、さらにそれらの情報をまとめ、集約した表を考案しようとするものである。なお、本研究は「魅力機能による製品コンセプトの構築支援法」と一対となって補完しあい、総合的な製品コンセプトづくりの方法論を構成するものである。
作業所VEに関する手法や実施方法については、これまでに、多くの場で発表され、定着してきた。しかし、最近の社会環境の変化により、ゼネコン各社共、工事量が大幅に増大し、人手不足が叫ばれている。このためVE活動をいかに効率化し、顧客の満足する製品を提供するかを検討しなければならない。
本論文では、従来の作業所VEの進め方を見直して現在の企業環境に合わせた、効率的なVEの実施方法、ならびにVEジョブプランを述べる。その特長は、工事受注前段階からのVE活動の着手、組織的な活動の充実、施工上の重要なポイントのVE改善を優先的に取り組む点である。
建設作業所における生産活動において、生産性向上の要求の中で生産活動を管理する技術者は減る傾向にあり、工事管理支援システム開発による合理化が必要とされる。そのシステム開発についてVE手法に基づく効率的な方法の開発を試みた。すなわち改善の対象として管理支援システム構築とその運用とに区分し、その取り組みの仕組みが異なるため、対応する内容を明らかにした。また作業所における必要なニーズを的確に確認し、シーズを探索しその機能展開を行い、改善案にいたるジョブプランを提案した。
特に機能分析は、システム構築についてはシーズにかかわる要求事項・制約条件を摘出して機能に変換し、またシステム運用についてはニーズにかかわる主として問題点を機能に変換し、おのおの改善案に結びつけることとした。さらにその手法を作業所の仕上げ管理においてバーコードとパソコンを活用した工事管理支援システム開発に適用した事例を示した。
商品開発段階からの0 Look、1st Look VE活動は、2nd Look VE活動に比べて大きな成果を得やすい。しかし、商品寿命の長い誘導電動機のような成熟製品においてはモデルチェンジのインターバルも長く、その間の収益維持確保のためにはどうしても2nd Lookを中心としたVE活動の強化が必要不可欠である。
一般的に2nd Look VEには、製品構成部品の形状や適用材料の変更などに多くの制約条件がついて、思うような成果が上がりにくいのが実態である。それをカバーするためには製品や構成部品の対象範囲をできるだけ広くとらえ、多くのアイディアを発想し、その中から真に効果のあるものをみつけだし優先度を明確にし、効率的な活動展開を図る必要がある。
本論文では、この2nd Look VE活動を効率良く推進するための「VEアイテム展開表」、「VEポートフォリオ」を考案したので、VEのー技法として提示する。
近年、化学反応系材料製品の開発設計は、高機能化・高信頼性が求められる一方、開発期間短縮に対する要求も強くなってきている。この相反する要求に対応するため本稿では、開発設計段階における信頼設計法として、VEの機能分析とQCの信頼性設計を融合したFDM法 (Function Dispersion Matrix 法) を提唱する。これは、物の流れ(反応メカニズム)を軸として、対象製品に必要な機能と現在起きているバラツキ原因とを対応させ、機能と機能達成レベルを同時に改善する方法である。
情報システムの開発に当たって、効率的な開発を行うための支援ツールは、沢山ある。
しかし、開発しようとする情報システムが本当に利用者にとって有効で価値があるかを事前に診断し、評価するツールはないと言っても過言でない。
そこで、VEの原点である「有効性」に的を絞り、開発の上流段階で価値ある情報システムを開発するための工夫を技法としてまとめた。
本件は、筆者の体験に基づき、「潜在ニーズの早期顕在化」及び「価値の診断と評価技法」を中心にV=N/Cなる評価式により、これらを定量化する考えを示すものである。
本技法により、お客様の予算内で有効で価値ある情報システムの開発を実現させようとするものである。
従来から魅力機能の定量化に関しては研究されてはいるものの製品コンセプトづくりとの関係で取り上げられたものは少ない。そこで、本研究は製品コンセプトを「消費者サイドからみたNeeds(潜在欲求)を探求し、メーカーがこれらに応えるBenefit(機能・便益)を決定し、それに経営方針を加味して、製品に託した企業メッセージである」と考え、既存市場に既存技術及び改良技術で参入する際の新製品のコンセプトづくりを魅力機能面から支援する新しい方法を提案するものである。その特徴は魅力機能を定量化して評価すると共に体系的に図示し、改善すべき魅力機能とその程度を明らかにし、さらにそれらの情報をまとめ、集約した表を考案しようとするものである。なお、本研究は「実用機能による製品コンセプトの構築支援法」と一対となって補完しあい、総合的な製品コンセプトづくりの方法論を構成するものである。
製造、使用システムでの化学原材料、中間体、製品の化学的変換を特徴とする材料製品の機能設計において、
製品の全体像を化学原材料を最初のインプットとし、使用者のアウトプットを最終アウトプットとする入出力モデルとして表現するMCダイアグラム(材料変換図)は、機能の設計解への変換(機能設計)及び製品の機能への変換(機能分析)を容易にする中間モデルとしても機能し、製品の全体~細部設計を創造的、効率的にする。
化学原材料、中間体、製品の機能、挙動、構造、特性の関連を関連図として表現するFBSダイアグラム(詳細機能関連図)は、製品の細部像を明確にし、製品の細部設計を創造的、効率的にする。
MC/FBSダイアグラムによる製品の全体像、細部像の明確な把握及び設計チームでの共有化により、材料製品の機能設計及び再設計をより創造的、効率的に行うことができる。
本論文は課題把握と課題分析の段階で、ユーザーの立場にたった新しい価値観を創出し顧客の満足のみならず感動をも得るための商品企画案作りの一方法を述べている。
まず、対象テーマについての現状を把握することから始める。現状がどうなっているのか、企業や市場のニーズが何であるのか。そのためには対象テーマを取り巻く環境を多角的に把握しなければならない。そこで願望と問題点という観点から課題を把握するのである。
次に、この課題把握で得られた真のニーズである願望を達成するため、願望と問題点をマトリックス化し『ユーザーの立場に立った価値観』で情報を分析、整理する。そして、これらをもとに新商品や新サービスを創り出すためのベースとなる『商品企画書』を作成する。
今日、企業は21世紀に向けて大きな変革期の中にある。環境・社会構造・人々の価値観は、いずれも従来の枠をこえた新たな課題を提起している。こうした状況下において、健全な経営のカジをとるには、課題そのものを探索する能力と、それを解決する能力の2つが同時に要求されている。我々は、この課題探索と課題解決のために、経営の中にVEを組み入れ、企業の成長・発展をめざすべきであると考える。
本論文では、今後のVE活動には次の3点が重要であることを論じ、その具体的な展開法を述べる。
1. 経営の基本的構造と、メカニズムを常に視野に入れる。
2. 経営課題の抽出から関与し、VE課題の選択へと連結する。
3. VEの成果は、経営指標向上ヘの寄与度でとらえる。
「業種業態に合ったVA/VE」即ち、実践的管理技法を求める要望は強い。そこで中小企業にVA/VEが浸透しない要因を考え、VA/VEコンサルタントの立場で、新たに企業トップが経営戦略の道具のーつとしての「VA/VE戦略」取り組みを意図した場合の、導入モデルを提案する。(第1報は総論編であったが、第2報は各論編として纏めた)
前段で浸透阻害の背景を考え、本論文の取り組み方向づけをし、「実践ステップ」のモデル化の概念を示すとともに、経営課題としてVA/VEの位置付を明確にした。
本論で、VA/VE導入手続きをステップ分けすることにより、VA/VE管理技法の活用具体化方法を取り組み時間に従って述べ、企業トップや従業員がVA/VEを理解し、本提案を取りあげていただける動機付工夫をした。
最終まとめはVA/VE管理技法が、お客様志向のものであり、その前提での筆者の今後の目標を確認し、決意表明をした。
VE活動の成果を確実なものとし、VEの考え方、技法を会社内に定着させていくためには、VEプロジェクトを企画推進するのみならず、プロジェクト終了時に活動を振り返り、次のプロジェクトの内容充実を図っていくことが重要である。
そのために、「活動の振り返りチェックシート」と「4Tチェックシート」によるプロジェクトの評価を行うことにより問題解決を図る方法を創出したので、紹介する。
この2つのチェックシートは共に、プロジェクトメンバーが記入するもので、プロジェクトを企画したり、VEをガイドする側にとって、そのプロジェクトでのVE理解度を定量的に知ることができる。また、プロジェクト企画推進上の評価は、次の活動企画に役立つ。
VEを導入して、着実に前進させるには、綿密なVE展開計画をたてて推進することが効果的である。本論文は、各企業でのVE展開計画(VE推進中期計画)を実戦的に作り上げることを目的としている。
そのために、企業の風土、VEのしくみ、戦略の三要素を取り上げた。この三要素をバランスよく展開実施するために、VE展開ブロック図によりレベル診断を行い、各企業の"あるべき姿"とトレードオフしながら計画の枠組みを作り、目的展開系統図を用いて、価値あるVE展開計画を立てることを特徴としている。
物質的な過飽和社会の中で、顧客に満足を与える商品を創造するためには、商品企画段階における徹底した価値の追及が必要である。しかし、「価値」という言葉のもつ曖昧さにより、その核心を突くことは、極めて困難である。本論文は、価値工学の立場から概念的な商品価値を実体的な商品価値として把握し、その追及を容易にした。具体的には、まず新商品とは何かを明確にするために、企業の立場から新商品を3つの種類に大別し、さらに使用価値型商品と感性価値型商品という2つの対極を設定した。次いで、再上位機能の定義の中に、副詞または形容詞の活用という考え方を導入し、新商品に高い価値を付加する技法を確立した。最後に、従来のVEの基本式を分析し、各種の商品戦略(8つのVE戦略)に活用できる新しい価値の方程式を提起した。その結果、VEの活用により、強力な訴求点をもつ商品の企画が容易になると共に、企業の商品戦略に直結したVE活動の展開が可能になった。
エンジニアリング業務,特に構造解析評価業務のようなエンジニアリングサービス業務では,顧客ニーズの迅速でかつ正確な把握とサービス性の向上が不可欠となってきている。
本論文では,エンジニアリングサービス業務において顧客ニーズの把握から具体化までの一連のステップに係るVEC手法を考察し,それに基づいてサービス性評価因子分析システムを開発したので報告する。
最近の商品ライフは顧客要求の多様化、価格競争の激化等により益々短く成ってきている。この様な中で従来どおりのVAの進め方、すなわちVA対象を1製品のみとした活動ではVA活動への投資の面で非常に効率の悪いものとなる。本論文は、これを打破し効率的かつVA成果の長期化が図れるVAアプローチ法を紹介するものである。
それは、新商品の企画段階からアプローチするものであり、商品戦略は1機種開発とすることなく必ず系列化をする事を前提とし、VA対象を今後商品化するであろう商品も含めた商品群で捕らえ、顧客ニーズ、技術動向情報をベースに系列化コンセプトを明確にして、共通技術を先取りしたモジュールを抽出し、これを徹底的にVAするものである。これにより顧客要求の多様化、市場変化に耐え得るVA活動となり、VA成果の拡大と投資効率の向上が図れるものとなる。