論文
「機能の定義」では、適切に機能表現を行うことで、「アイデア発想」においてより思考を広げ抜本的な発想ができると言われている。本論文では、機能定義用語のうち動詞に対してアイデアの出しやすさを示す指標(定量値)を計算言語学の応用によって求め、「機能の定義」に不慣れであってもアイデアの出しやすい動詞選択を可能とする方法論を検討する。動詞が「思考を広げる」のは、①その動詞が様々な場面で用いられるからである。②コーパス注)の用例数が多いものが動詞の使用場面数を数量化したものである。①、②から「コーパス用例数が多い動詞がアイデアの出しやすい動詞」であると仮説を立てた。これを検証する調査を行ったところ、動詞のコーパス用例数とその動詞から得たアイデア数には相関が見られなかった。しかし、その一方で、アイデアを出しやすいと感じる動詞の順位を質問したアンケートでは、動詞間でその印象に有意差が見られ、「機能の定義」で用いる動詞選択が「アイデア発想」で得られるアイデア数に一定の影響を及ぼす可能性があることを示唆する結果が得られた。今後は、「今回の実証実験&アンケートの結果」を総合的に吟味し、機能の定義の機能表現とアイデア数向上の関連性をより客観的に分析し、アイデア発想に役立つ科学的な動詞選択ツールの開発研究を継続するつもりである。
目次
- 1. 研究の目的と背景
- 1.1 研究目的
- 1.2 研究の背景
- 2. 従来研究
- 3. 提案内容
- 3.1 提案アプローチ
- 3.2 研究内容
- 3.2.1 調査方法詳細
- 3.2.2 アイデア数の計測とアンケート結果
- 3.2.2.1 第一次調査結果(コーパス用例数とアイデア数との相関調査結果1)
- 3.2.2.2 第二次調査結果(コーパス用例数とアイデア数との相関調査結果2)
- 3.2.2.3 第三次調査結果(動詞選択のアイデア数向上に対する印象度調査結果)
- 4.結果考察
- 5.今後の課題
発行年
2011年 VE研究論文集 Vol.42著者
- 早稲田大学理工学術院
創造理工学研究科博士後期課程 経営デザイン専攻 - 牧野 公一
- 早稲田大学理工学術院
創造理工学研究科 経営デザイン専攻 - 澤口 学
カテゴリー
- VEテクニック
キーワード
- アイデア数向上
- コーパス
- 動詞選択
- 機能定義用語
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